月刊総務プラス

『月刊総務』本誌記事:

在宅勤務の健康管理

2020-06-08 10:00

在宅勤務とは、自宅を就業場所とする形の働き方です。業務は、PC、携帯電話などの通信機器を利用して行います。
新型コロナウイルス対策として、今企業で導入が進んでいます。従業員は通勤時間を有効に利用することができます。会社は、通勤労災がなくなるほか、通勤費・オフィスのスペースの削減、優秀な従業員の確保といったメリットがあります。業務効率が高まることが実証されれば、今後新しい働き方として、さらに導入が進むことが予想され、人事・総務担当者は、それに対応した人事・健康管理が求められます。

課題

 在宅勤務の健康管理上の大きな問題点は、私生活と仕事の場が一体化するために、食事・運動・睡眠のバランスが乱れやすくなることと、IT機器による健康障害があります。また仕事に関して、緊張感が薄れ、業務効率が落ちることにも注意が必要です。会社が従業員の体調を把握するのが難しくなるという問題もあります。
 在宅勤務は、どうしても遅刻・残業といった意識が希薄になって、夜型の生活習慣になりやすくなります。
 まずは規則正しい食生活・睡眠を心掛けましょう。在社時と同じ規則で仕事をすることは、健康面でとても重要なことです。そのためにも、在宅勤務に関する就業規則を整備することが大切となります。
 朝9時までに始業し、始業時は管理職・人事担当者がしっかり点呼を取りましょう。気持ちを切り替えるためにも、出社時と同じような服装で、机を使って仕事をすれば、モチベーションも高まります。
 また長時間労働にも注意が必要です。所定時間をしっかり守り、休憩時間を確保して、昼食を取るようにします。
 また運動不足になりがちなので、軽い散歩や体操もお勧めです。解放感とストレスから飲酒・喫煙機会が増えやすいので、就業時間中の禁煙・禁酒を徹底する必要があります。
 仕事はできるだけ早めに切り上げるようにし、夜はリフレッシュして、睡眠時間を十分取れる時間管理を労使一体となって、心掛けてください。

作業環境・方法の改善

 在宅勤務では、PCを使った作業が中心になります。セキュリティの問題で、会社支給のノートPCを利用することが多いでしょう。ノートPCは画面が小さく、キーボードが打ちにくいため、オフィスでの作作業環境・方法の改善業より疲れやすいという声を聞きます。VDT症候群を予防するため、大きめのディスプレイに接続して使用することをお勧めします。
 不自然な姿勢は、腰痛、肩凝り、けんしょう炎等の原因になりますので、机の上にPCを載せ、しっかりとした椅子に腰掛けて業務に当たるべきです。

メンタルヘルス

 体調不良があれば、当然在宅であっても休業を検討しましょう。在宅であっても健康第一です。無理に仕事をさせるべきではありません。
 一般的な自宅は、手狭で、リフレッシュが難しく、軟禁状態によるストレスがかかります。特に一人暮らしの若い従業員は、孤独感からメンタルヘルスを悪化させてしまうこともあります。
 一人で作業することも多いため、メンタル不全者が見つけにくくなります。業務効率を定期的にチェックして、ミスが多い、時間がかかるという傾向があれば、体調不良を疑う必要があります。来社時に、睡眠、食欲、モチベーションに問題がないか確認しましょう。おかしいと感じたら、医療機関や産業医に相談するよう勧めてください。


下村労働衛生コンサルタント事務所 代表 医師 下村洋一

医師、社会保険労務士、労働衛生コンサルタント、日本医師会認定産業医、健保連巡回コンサルタント、大手私鉄の専属産業医等を経て独立。現在、大手企業や中小企業の嘱託産業医を多数務める。http://kenkouzukan.com/