月刊総務プラス

『月刊総務』本誌記事:

総務パーソンが押さえておきたい9月のトピックス

2020-08-28 10:56

2020.September

■法務

執筆/小沢・秋山法律事務所 弁護士 香月裕爾


●新型コロナウイルス関連商品の不当表示

 新型コロナウイルスの流行に伴い、予防効果を標ぼうする商品の不当(優良誤認)表示が増加しています。優良誤認表示とは、一般消費者に対し実際のものよりも著しく優良である表示を意味し、「不当景品類及び不当表示防止法」(以下「景表法」)によって禁止されています。
 まず、携帯型の空間除菌用品の販売事業者5社に対し行政指導がなされています。これらの事業者は、「身につけるだけで、空間のウイルスを除去」などの文言を用い、さまざまな利用環境において、当該商品を身につけるだけで周囲のウイルス等を除去する効果があるかのような表示をしていたのです。しかし、表示の根拠は、狭い密閉空間における実験結果資料であって、風通しのある場所で使用する際には表示通りの効果が得られないとされています。
 また、「アルコール七一パーセント配合」と表示した手指洗浄ジェルを販売していたM社に対し、措置命令(優良誤認表示であり、景表法違反を消費者に周知徹底すること等)が出されています。当該商品におけるアルコール配合割合が表示より大幅に下回るものだったからです。
 さらに、消費者庁は「新型コロナウイルスに対する予防効果を標ぼうする商品等の表示に関する改善要請等及び一般消費者への注意喚起について」を公表して、インターネット広告において新型コロナウイルス予防商品を販売している35事業者に対し改善要請等を行っています。


■労務

執筆/斉藤社労士事務所 特定社労士 斉藤貴久


●労災保険法改正(副業・兼業)

 2020年9月1日から改正労災保険法が施行されます。これにより、複数の会社に雇用された場合でも、賃金を合算して休業補償給付等が算定されることになります。
 たとえば、本業で高い賃金を得て、副業で低い賃金を得ている場合に、副業で労災事故にあったとします。休業する場合には、本業と副業の両方で労務提供不能となるでしょう。しかし、休業補償給付等は、労災事故のあった副業のみの賃金で算定されるので、収入の補てんとして十分ではありません。保険料は、両社それぞれで発生しているのに不合理とも考えられます。
 今回の改正により、この点が改善されましたので、副業・兼業のしやすい社会に一歩近づいたといえるでしょう。

●社会保険料の引き下げ特例

 連続する3か月間で報酬が著しく下がった場合、社会保険料は4か月目から減額されるルールがあります。「随時改定」と呼ばれるものです。今般、新型コロナウイルスの影響による休業が原因となり、2020年4月から7月までの間で報酬が急減した場合であれば、その翌月の5月から8月分を対象として、保険料を減額することができる特例が設けられました。
 被保険者の同意など一定の要件が必要ですが、2021年1月末日までに届け出があったものが対象となりますので注意が必要です。


■税務

執筆/税理士法人AKJパートナーズ


●ひとり親控除の創設と寡婦(寡夫)控除の改正

 ひとり親控除の創設により、2020年分の年末調整から、一定の要件を満たすひとり親は、35万円所得控除されることになります。この創設と併せて、寡婦(寡夫)控除は、ひとり親に該当しない寡婦に係る寡婦控除(控除額27万円)に改正されました。
 2020年分の月々の源泉徴収事務では改正前の控除が適用されますが、年末調整では改正後の控除が適用されます。また、改正前の「寡夫」該当者が、改正後は「ひとり親」に該当する場合、2020年分の年末調整では、従業員に申告してもらう必要はないですが、誤って寡夫控除を適用しないようにご注意ください。

●年末調整手続きの電子化

 2020年10月から、年末調整に係る保険料控除証明書等を、電子データで勤務先に提出できるようになります。従業員は年末調整申告書作成ソフトウエア※ に情報を入力し、保険会社等から交付された控除証明電子データをインポートして年末調整申告電子データを作成・提出します。勤務先は、電子データを給与システム等にインポートして年税額を計算します。
 従業員は手書きによる手続きを省略でき、勤務先は申告書類の確認事務を削減でき、控除額の検算や控除証明書等(書面)の保管が不要になるなど、従業員、勤務先共に年末調整手続きが簡便化されます。

『月刊総務』2020年9月号P7より転載