コラム

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地域活性化に活用できる知的財産〜地理的表示〜第6回

2017年02月15日

■ 地理的表示PRイベント

 今回も、前回に引き続き、地理的表示(GI)の申請手続の説明をしようと思います。
 しかし、その前に、東京駅前KITTE 1階 アトリウムにおいて、1月13日(金)・14日(土)の2日間にわたり開催された地理的表示(GI)のPRイベントに参加しましたので、そのご報告をします。
 このイベントは、現在登録されている日本各地のGIの登録産品(GI産品)を集め、一般の人たちにGIのことをもっと知ってもらうことを目的に開催されたものです。イベント期間中は、GI産品を使用したランチボックスの販売や、タレントの鈴木奈々さんをゲストに迎えたトークセッション、産地によるGI産品の展示・試食・販売が行われました。

 弊所は、愛媛県西予市伝統の高級生糸「伊予生糸(いよいと)」のGI登録申請の手続きを行った関係で、1月14日に様子を見て参りました。
 写真は、1月14日のイベントのようすと、「伊予生糸」ブースを撮影したものです。「伊予生糸」ブースでは、生きた蚕を展示していたため、ひときわ多くの人が群がっていました。小さな子供は初めて見る蚕に興味津々なようすでしたが、ご高齢の方たちからは、「懐かしい」「昔は近所で蚕を見る機会があったが、最近は全く見なくなった」というような声が多くありました。

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 「伊予生糸」は、現在、生糸の副産物(写真)を利用した今治タオルの製造販売や、化粧品の開発が進められています。GIの申請前は、養蚕農家の後継者不足で風前の灯火状態であった「伊予生糸」が、GI登録をきっかけに、ここまで大きな躍進を遂げるとは想像もつきませんでした。GI登録にこぎつけるまでの道のりは大変でしたが、このイベントでは、久々にGI申請に関わった関係者が一同に集まり、感慨深いものがありました。


■ 登録拒否の理由

 さて、上記のように、「伊予生糸」については、GI登録をきっかけに、その価値が見直され、地域活性化に向けて大きく前進した事例だといえるでしょう。

 しかし、GIの申請をしても残念ながら登録に至らなかった産品も皆無ではありません。登録に至らなかった産品について資料を取り寄せ、その理由を調べてみましたが、地理的表示法(特定農林水産物等の名称の保護に関する法律)の第13条第1項第1号イで規定する「特定農林水産物等」に該当しないという拒否理由が目立ちます。

 つまり、申請した産品が、「(1)農林水産物などであって、(2)特定の場所、地域または国を生産地とし、(3)品質、社会的評価その他の確立した特性が、(4)特定の生産地に主として帰されるもの」に該当しない場合です。
 具体的には、"栽培方法が一般的でその地域特有のものではない"、"他の県でも栽培されている"、"現地調査の結果、おおむね25年の生産実績が確認できない(伝統性がない)"というような場合に登録が拒否されています。

 これに関し、秋田県の日本バター餅協会が2015年8月に申請した「北あきたバター餅」は、2016年11月に申請を取り下げていますが、河北新報ONLINE NEWS (2017年2月6日付) では、その理由について、「日本バター餅協会は審査で、伝統性の証明に苦戦した。古い文献や写真が見つからず、申請をやむなく取り下げた」と記載しています。

 これらのことからも、GIの申請の際は、申請産品が上記の条件を満たしているかどうかを、特に検討する必要がありそうです。

鈴木 徳子
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