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働き方改革成功のカギは総務にあり
成功の掟 第二条「公的補助を活用するべし」

2017年05月16日

 本コラム第2回目は、働き方改革にかかわる投資を、最小限にするための公的補助、助成金について紹介します。
 助成金については、前回紹介した関係部門が参加するコンソーシアム(プロジェクトチーム)で、事前に参加者全員に知っておいてもらうことが必要です。働き方改革に関する制度が開始する前に申請しておかないと、助成金がもらえないものもあり、制度を知っているか否かで、制度開始に掛かる費用に大きな違いが出てきます。
 たとえば、生産性向上設備投資促進税制は即時償却と税額控除を選ぶ制度なので、始める前に決めておく必要があります。
 また、すべての事業主が対象であるものと、条件が該当する事業主だけが対象となるものの2種類ありますので、注意しましょう。

■ 1.助成金・補助金例(厚生労働省・都道府県労働局 管轄)

●すべての事業主が対象のもの
・女性活躍加速化助成金

●次のいずれかに該当する事業主が対象のもの
小売業 資本金5000万円以下 常時雇用の労働者50人以下
サービス業 資本金5000万円以下 常時雇用の労働者100人以下
卸売業 資本金1億円以下 常時雇用の労働者100人以下
その他の業種 資本金3億円以下 常時雇用の労働者300人以下
・職場意識改善助成金制度
・両立支援等助成金
・ワークライフバランス推進助成金
・中小企業子育て支援助成金
・両立支援レベルアップ助成金
 (育児・介護費用等補助コース)
 (子育て期の短時間勤務支援コース)
 (代替要員確保コース)
 (休業中能力アップコース)
・育児休業取得促進等助成金
 (育児休業取得促進措置)
 (短時間勤務促進措置)

●支給対象となる取り組み例
・テレワーク機器等購入経費  ※厚生労働省はPC、タブレット、スマホは対象外
・保守サポート料、通信費
・クラウドサービス使用料
・就業規則・労使協定等の作成・変更
・労務管理担当者や労働者に対する研修、周知・啓発
・外部専門家(社会保険労務士、中小企業診断士など) によるコンサルティング
・労務管理用ソフトウェアの導入・更新
・労務管理用機器の導入・更新
・労働能率の増進に資する設備・機器等の導入・更新
 (小売業のPOS装置、自動車修理業の自動車リフト、運送業の洗車機など)

 これ以外にも、介護で実家へ戻った社員へサテライトオフィスを開設する場合は、地方自治体による助成金もあります。地方創生予算をふんだんに還元している自治体も多いことから、市区町村レベルでの助成金もチェックすることをお勧めします。

■ 2.税制優遇(経済産業省)

●雇用促進税制
・青色申告書を提出する全ての事業主
・適用年度とその前事業年度に、事業主都合による離職者がいないこと

●生産性向上設備投資促進税制
・青色申告をしている法人・個人事業主(工具器具備品、ソフトウエア等)

●くるみん税制
・すべての事業主[テレワーク(在宅型)用の電気通信設備等]

■ 3.総務省の実証でかかわった岐阜県の例

●岐阜県企業立地促進事業補助金
▼対象施設:事業所
・初期投下固定資産額の1/10以内
・操業後60か月以内の次に掲げる額。事業所賃借料の1/2以内、通信回線使用料の1/2以内、新規地元常用雇用者1人につき30万円
   
▼対象施設:研究所
・初期投下固定資産額の1/10以内
   
▼対象施設:工場
・初期投下固定資産額(工場の新設に対して設置される従業員用の住宅の設置費用も含む)の1/10以内

 条件など詳しくはこちらをご確認ください。


 働き方改革にかかる投資の回収は、助成金や税制優遇だけではありません。施策前後の定量的、定性的な効果測定により、かなりの額が回収できることがわかると思います。効果の見える化のためには、人事・情シス・営業の協力を得つつ、基になるデータをあらかじめ収集しておくことが必要です。

●テレワークの例
▼定量的評価(資金回収の面から捉える)
・顧客対応(回数、時間、新規獲得数)
・事務処理の効率(作成時間・件数)
・オフィスコスト(面積、賃料、ペーパーレス化等) 
・移動コスト(通勤費用、移動費用・時間)
・人材の確保(応募者の増減、質、退職者数など)

▼定性的評価(ワークライフバランスの実現による効果)
・業務プロセス(情報共有度、仕事の質、生産性)
・コミュニケーション(頻度と質)
・人事評価(テレワーク実施者の満足度)
・自立性(業務の自立的な管理に対する評価)
・働き方の質(仕事に対する満足度・通勤の疲労度)
・生活の質(個人生活・家族とのコミュニケーションの満足度)

 これ以外にも、長時間労働是正による定量的、定性的評価項目を加えると、働き方改革全体で相当額の投資回収ができることになるでしょう。

 このように、投資回収の見える化については、総務が中心となり、コンソーシアム全体で進めていくことが大変重要となります。私の経験から、人事や情シス主導で始めても、なかなかうまくいかず、総務がコンソーシアムを統括し、先に記したような改革前の見える化をお膳立てしておくと、大変スムーズに進むように思います。働き方改革はこの下地作りがとても重要なプロセスなのです。

 コンソーシアムの体制作りが完了したら、次に行うのは経営層のコミットメントです。組織のありたい姿を示し、経営者自らがゴールを従業員に示すと、大変進めやすくなるばかりか、従業員からも積極的な協力が得られます。もう一つ経営層に確認が必要な項目は、働き方改革を性善説で進めるか、性悪説で進めるかの選択です。長時間労働の是正やテレワークで課題となる、人事評価や労務管理は、このどちらかに軸を定めなければならず、改革の最初に決めておく必要があります。

 働き方改革とは、組織力の強化、競争優位性の獲得、イノベーションの創出を目的とすることから、全社一丸となって取り組む必要があり、その実現のために、総務は大変重要なポジションにいることをあらためて認識し、推進していってほしいものです。

家田 佳代子
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