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地域活性化に活用できる知的財産〜地理的表示〜第10回

2017年06月15日

 こんにちは。ブランシェ国際知的財産事務所の弁理士 鈴木徳子です。

 今回は、地理的表示(GI)と地域団体商標の相違について説明します。

■ 地域団体商標

 地域活性化に活用できる知的財産として地理的表示(GI)のほかに、地域団体商標が有効です。
 地域団体商標制度は、地域名と商品(サービス)名の組み合わせからなる商標(地域ブランド)を広く保護することを目的とした制度で、2006年の導入以来、約600件の商標が登録されています。

■ GIと地域団体商標の相違

 GIと地域団体商標の相違について、特許庁が表にまとめたものを公開していますので、下記にご紹介します。ここでは、この表に沿って、主な違いを説明します。

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 (1)保護対象
 GIの保護対象は農林水産物、飲食料品等に限定されますが、地域団体商標は全ての商品・サービスが対象となります。したがって、食品以外の商品やサービスを地域で盛り上げようとする場合は地域団体商標の活用を検討することをお勧めします。たとえば、岐阜県の「美濃焼」や島根県の「玉造温泉」など食品以外の商品・サービスのブランドは地域団体商標として登録されています。

(2)登録主体
 地域団体商標では法律で定められた法人であることが求められますが、GIでは地域団体商標の登録主体要件を満たさないような任意団体であっても登録主体になれます。たとえば、GI登録第1号「あおもりカシス」は「あおもりカシスの会」という任意団体が登録主体となっています。この団体は、GI申請に至るまでの間、登録主体要件を満たさないという理由で地域団体商標の申請は見送っていたという経緯があるようです。

(3)主な登録要件
 GIの登録を受けるには「農林水産物等であって、特定の場所、地域又は国を生産地とし、品質、社会的評価その他の確立した特性が、特定の生産地に主として帰されるもの」であることが必要です。
 おおむね25年の伝統性が求められ、その地域で長年にわたって認知されていることが必要となります。「新しく品種改良した農産物についてGI申請ができますか?」という質問を受けることがあるのですが、このようなケースでは伝統性の点で登録要件を満たさないことがほとんどです。
 一方、地域団体商標では、商標が需要者の間で広く知られていることが求められます。出願の際には、少なくとも商品を生産・販売する地域またはサービスを提供している地域が、その属する都道府県内で広く知られていること(周知であること)を、雑誌・新聞の記事やパンフレット・カタログなどの客観的な資料を提出して立証する必要があります。拒絶される案件のほとんどが、周知性に関する証拠資料が不十分であることによるものですので、どのくらい十分な資料を集めることができるかが登録を左右するといっても過言ではありません。

 次回も引き続きGIと地域団体商標の相違について説明します。

鈴木 徳子
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