コラム

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BTM徒然草 第7話:日本企業のBTMの変遷と課題

2017年09月08日

■ 日本と米国のBTM変遷の違い

 今回は日本企業のBTM(ビジネストラベルマネジメント)の変遷について紹介していく。

 米国で企業が社員のビジネストラベルを専門部署に社員を配置して扱った"内製"から、旅行会社に"外部委託"するようになったのは、対日、対独の貿易摩擦で、企業が疲弊していた1980年代前半のこと。ブームとして、設計など本業のコアな業務までも"アウトソーシング"することにより、コストダウンをはかったことに始まるようだ。

 業務渡航(日本ではビジネストラベルとは呼ばない)を扱うために、日本の大手企業は1980年代初頭までにこぞってインハウス・エージェンシーを設立。旅行代理店からは正規料金の航空券でしか買えないので、キャッシュ・フローの観点、加えてベビーブーマーの社員のしかるべき役職が必要だったためか、自前の旅行会社を持っていたわけだ。

 1985年のプラザ合意後、為替は円高に振れ、ローカルコンテント法を満たすには海外生産を高める以外になく、年間業務渡航者数は200万人を突破、赴任者もバブルがはじけて後の1990年代前半までは多かった。この頃からやっと"正規航空運賃利用の出張でなければ業務に支障がある"、と旅行会社に洗脳され続けてきた企業も、"格安航空券"で一躍有名になったH.I.S等の販売攻勢もあり、自前のインハウス・エージェンシーも格安航空券を業務渡航者に紹介、販売するようになった。

 一方、米国企業は業績V字回復、中国など海外生産を高めることでビジネストラベラーの数は年を追うごとに増えた。出張経費という一般管理費項目の中でトップ3に入る経費の低コスト化をはかり、管理するためトラベルプログラムを導入。ビジネストラベル業務の一切を外部委託し、コスト削減と社員の出張規定遵守、トラベラーの安全確保を管理する専門旅行会社が1990年代後半にでき上がった。

 日本にもその潮流はJV(共同企業体)業務設立、提携という形で1990年代後半、2000年初頭に押し寄せてきたが、定着しなかった。その理由は、日本企業の経営トップは間接費、ことに出張経費(業務渡航と国内出張)のコスト削減にほとんど関心を示さず、出張の所管部署である人事・総務部も世の中の経済情勢が悪化し、コスト削減が叫ばれるときは出張自粛、航空座席・ホテルのダウングレード、エアーオンと呼ばれる格安航空券購入でお茶をにごしただけで済ませてきたのだ。

 2001年の米国同時多発テロ発生時、2003年のSARS、イラク戦争、鳥インフルエンザ発生時、2008年のリーマンブラザース崩壊、世界同時金融危機、2011年の東北大地震などにより本業売り上げが落ちると、またぞろ出張削減、エコノーミークラス出張で済ませるパターンで、BTM管理によるトラベル・プログラムを導入するまでに至らない。

■ アンケート結果

 最後に世界的総合旅行予約システム「SABRE」を運営するセーバートラベルネットワークの日本支社が最近実施したアンケート結果の要点と、BTMA Japanが2011年に実施したBTM導入講座、航空仕入れセミナーでのアンケート結果から日本のBTMの現状を探ろう。

●SABREで実施したアンケート結果の要点
・日本のBTMは「認知度低い」
・日本のBTMの課題はシステム活用
・海外出張手配が管理されていない(データなし、コスト削減不可、危機管理不可)

●BTMA Japanがセミナー参加者から採取したアンケート結果
対象:旅行会社、企業の人事総務担当者
回答者数:51件
実施時期:2011年
テーマ:BTMの取り組みで苦労していること、課題について
回答:以下、回答数の多いものから、
1.ゼロコミッションにより航空会社からの手数料収入ゼロ ・・・35
2.競合他社との料金(手数料)競争が激化        ・・・24
3.企業への売り込み時に(BTM)ノウハウ、専門スタッフなし ・・・10
4.出張者にとって使い勝手のよいシステムがない     ・・・9
5.システム開発が高額で導入できない          ・・・9

森 栄蔵
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