富士通グループは顧客に対し、「仕様に合わせたサービスの提供者」から、「事業変革と成長へ貢献する存在」へとかじを切った。新たなビジネスモデルを実現するには、主体的に行動できる人材の育成が不可欠だ。ジョブ型人事制度の導入とポスティング制度の拡充を支える、同グループのリスキリングを取材した。
取材・文◎武田 洋子
2つの制度の刷新で新たな人材を登用
富士通グループは、DXを今後の成長ドライバーとして位置付けている。DXの推進なくして顧客の事業を変革し成長に貢献することはできず、そしてそのためにはまず、自社の人材戦略を見直す必要があった。人材開発部の岡田順二さんは、同社のDX推進の一例として「ジョブ型人事制度」の導入を挙げる。
人材開発部
統括部長
岡田 順二さん(左) Employee Success本部
Engagement&Growth統括部
デジタルカレッジ長
半田 智子さん(右)
「キャリアパスの多様化を促すために、従来の人事制度を刷新しました。グローバルに統一された基準で職責、スキル、行動を明確化し、これまで以上に適切な人材を配置することを目的としています」
終身雇用制度の企業文化において、キャリアはある程度、既定路線で進んでいくのが一般的だ。しかしジョブ型人事制度の下では、キャリアを決める主体は会社ではなく、従業員となる。ジョブ型人事制度を支える制度として同グループでは2020年、「ポスティング制度」を拡充させている。もともと、グループ内の空きポジションをイントラネットを通じて公開し、従業員は誰でも応募できるという社内公募制度はあった。その案件を一気に増やしたのだ。これで、希望する部署への異動が、よりかないやすくなる。
ただし無論、ジョブチェンジには新しいスキルが不可欠だ。同社の学びには、これまでのキャリアに上積みしていくアップスキリングと、ジョブチェンジも視野に入れたリスキリングのどちらも用意されている。従業員学習のベースになるのは、「Fujitsu Learning Experience」というプラットフォームで、世界最大級のオンライン動画学習サービスと連携し、約9,600の講座をオンデマンドで受講できる。特徴的なのは、何をどれだけ受講するかを従業員が自律的に決めている点だ。
「均質な人材が大量に育成される階層別研修に代わり、希望するキャリアを実現するために足りないものを自律的に学び、成長していく教育制度に刷新しました。将来、応募したいポストをあらかじめ登録しておくと、身に付けた方がいいスキルのコンテンツがお薦めされるなど、挑戦を促す仕組みもあります」
DX推進には既存の枠組みを超えたスキルで社内外と共創する人材育成が必要であり、リスキリングは重要なファクターだ。しかし、世界で13万人が所属するグローバル大企業において、全員が自律的に学ぶことは可能なのだろうか?
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