企業に求められるGX2040ビジョンとGX推進法への対応

データ管理、市場参加……義務化への対応は万全? 【改正GX推進法】排出量取引制度・実務ガイド

牛島総合法律事務所 パートナー弁護士 猿倉 健司
牛島総合法律事務所 アソシエイト弁護士 上田 朱音
最終更新日:
2026年04月27日

前回は、GX推進法(脱炭素成長型経済構造への円滑な移行の推進に関する法律)の概要と2025年改正のポイントについて解説しました。最終回となる今回は、2025年改正のメインである排出量取引制度の概要と、法定化に伴う実務対応について見ていきます。

本格始動した「排出量取引制度」の全体像

CO2排出量取引の義務化は、日本のカーボンプライシング(炭素価格付け)政策を本格始動させる歴史的な転換点となります。

これまで日本では、大手企業が参加する「GX(グリーン・トランスフォーメーション)リーグ」において試行的な自主参加型の排出量取引(ボランタリーな国内カーボンプライシング)が行われてきましたが、改正GX推進法(以下、改正GX法)が施行される2026年度からはこれが法定の義務制度として稼働することになります。

これは、自主的GXリーグから義務制度への移行であり、これにより日本のCO2排出量取引は欧州連合のEU-ETSなどの国際的な取り組みと同様の枠組みに踏み出すことになります。

改正GX法により創設・施行される排出量取引制度(以下、GX-ETS)は、市場メカニズムを軸とした包括的なカーボンプライシング制度です。GX-ETSは法的義務と市場メカニズムを組み合わせたハイブリッド制度であり、排出量上限を定めつつ、市場取引と価格シグナルを通じて効率的削減を誘導し、日本の温室効果ガス削減目標の達成に貢献する枠組みとなっています。

主要なポイントは(1)排出量取引制度の法定化(実質的な排出量削減義務)、(2)排出枠取引市場の整備、(3)価格安定化措置、(4)移行計画の策定の4つです。以下で詳しく解説していきます。

(1)排出量取引制度の法定化(実質的な排出量削減義務)

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プロフィール

牛島総合法律事務所 パートナー弁護士
猿倉 健司

国内外において、環境法・廃棄物リサイクル規制のほか、不正・不祥事に対する危機管理対応、行政対応、企業間紛争、新規ビジネスのレギュレーション対応等を中心に扱う。近時の主な著作に、『不動産取引・M&Aをめぐる環境汚染・廃棄物リスクと法務』(清文社)、『ケーススタディで学ぶ 環境規制と法的リスクへの対応』(第一法規)、「Environment Comparative Guide」(Legal 500)など。

牛島総合法律事務所 アソシエイト弁護士
上田 朱音

2021年慶應義塾大学法科大学院修了。主に環境法、不正・不祥事に対する危機管理対応、紛争、不動産分野の案件を中心に扱う。主な著作に、『廃棄物リサイクル・資源循環の法規制とリスク管理』(金融財政事情研究会、共著)、「Environment Comparative Guide」(Legal500)などがある。

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