エネルギー価格高騰、異常気象のリスクに備える 企業の猛暑対策

もう「節電の呼び掛け」はいらない! 今すぐ試せるエアコン代削減策のポイントは「競争原理」

株式会社Hite&co. CEO 金 英範
最終更新日:
2023年08月07日
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猛暑の今夏、総務担当者としても自社の電気代が気になるところでしょう。今回は昨今の電気代高騰の背景とともに、どうすれば総務部門が節電をマネジメントしていけるか、ハード面、ソフト面の両面で見ていきます。

電気代高騰の原因と法人電気代への影響

電気代の高騰に関するニュースも多いですが、昨今の電気代の高騰をまずは環境要因から整理していきます。

ここ数年の環境要因としていちばん大きいのが地政学リスク(ロシアのウクライナ侵攻など)に伴う液化天然ガス(LNG)の供給不足、その影響での価格上昇が挙げられます。それに加え、新型コロナによる世界的な経済活動の低迷で、産油国が石油、LNGガスの供給を調整したことが、エネルギー価格の高騰につながりました。

また世界的な脱炭素の流れと再生エネルギーへのシフトの流れの中、エネルギーミックス(さまざまな方法で発電するその割合)の取り組みにおいてどうしても後れを取るオフィスに関しては、エネルギーコストは上がる一方です。さらに追い打ちをかけて猛暑となった今夏、エネルギー負荷が大きいのも気になります。それらの環境要因は短期的なものと、中長期にわたるものが入り交じっており、総務部の立場では今後の予測が難しく、年度をまたぐエネルギー費の「予算」を立てるのも非常に難しい状況が続いています。

そもそも企業が払う電気代の内訳は一般的には4つに分類されます。

  1. 基本料金
  2. 電力量(kWh)に連動する料金
  3. 燃料費調整額
  4. 再生エネルギー賦課金

基本料金、燃料費調整額と再生エネルギー賦課金は日常的にコントロールが利くものではないので、日常的に調整可能なのは電力量(kWh)の削減であり、それが総務部門としていちばん重要なミッションとなります。

kWh(キロワットアワー)は、1か月に使ったエネルギー量の総和(kW=電力、に総時間[h]を掛けた値)ですが、それに単価(円/kWh)を掛けたものが、毎月の電気代となります。

毎月の請求=kWh(使った電力量の総和)×単価(円/kWh)

単価は市場価格の影響をそのまま受けます。自社ビルの場合は電力会社との交渉、賃貸オフィスの場合はビルオーナーとの交渉となりますが、いずれも市場価格に連動するので交渉できる幅は少ないです。高圧(6600V:一般的なオフィスでの受電レベル)での単価の推移は図表1を参考にしてください。電気料金(右軸)が約1年で高騰しているのがわかります。燃料費調整額(左軸)も総務予算への影響が出るレベルに跳ね上がっています。

図表1:エネルギー単価の最近の推移

出所:東京電力エナジーパートナー「燃料費調整単価一覧表(高圧・特別高圧)」/一般社団法人エネルギ―情報センター「新電力ネット
(※画像クリックで拡大)

このようにエネルギー単価が高騰している中で、総務部門としてどのようにマネジメント(やりくり)すべきか、について考えてみます。あえてここで「マネジメント」といっているのは削減ありきでない、という視点が重要という意味です。

エネルギーマネジメント=「創エネ※1」+「省エネ※2

と定義して整理していきます。

※1 創エネ=自らエネルギーをつくり出すこと
※2 省エネ=エネルギーの無駄を省き効率的に運用すること

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著者プロフィール

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株式会社Hite&co. CEO
金 英範

「総務から社員を元気に、会社を元気に!」がモットー。日系・外資系大企業の計7社にて総務・ファシリティマネジメントをキャリアとして実務経験してきた「総務プロ」。企業の不動産戦略、オフィス変革、財務戦略、福利厚生革命など幅広い実績。MCR、CFMJ、一級建築士の資格を保有。

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