カスハラ対策の条例制定、東京都と北海道が検討へ 企業側に必要な方針・線引き・取り組みは?
月刊総務 編集部
最終更新日:
2024年02月21日

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東京都の小池百合子知事は2月20日の都議会定例会の施政方針演説で、顧客による著しい迷惑行為「カスタマーハラスメント(カスハラ)」対策として、前例のない条例制定の検討を始めたことを明らかにした。
小池知事は施政方針演説の中で、「カスハラが深刻化している。東京ならではのルール作りが求められている」と条例制定の意義を述べた。
カスハラで廃業する企業も 東京都・北海道の条例から社会全体に波及するか
2023年10月から検討を進める都のカスハラ防止対策の検討部会では、2月6日の部会(第3回)で「条例制定が必要」とする意見をまとめた。罰則規定を伴う条例ではなく、カスハラが許されないことを周知する理念型の条例で調整している。
飲食店や旅館ではカスハラで廃業に追い込まれる事例もあったことなどを受け、検討部会は東京商工会議所や連合東京の代表者らが委員として参加し、職場環境の悪化や人材の流出につながるカスハラの対応強化を議論してきた。
カスハラが深刻化している原因や課題については、たとえば以下のような指摘も挙げられている。
- 企業側が過剰なサービスを提供し、消費者はその過剰なサービスが当たり前となっていることが原因となっているケースが多い
- クレームの具体的な線引きがなく迷ってしまう
- 取引先・顧客からの嫌がらせや過度なクレームと、正常な交渉・申入れとの線引きが困難
- 企業内の対応だけでは限界があり、広く事業者や消費者も含めた社会全体の取り組みが重要
その上で、「過剰なサービスが当たり前になると、ささいなことでも気になり、それが高じて正当とはいえないクレームやハラスメントにつながる。そこで、客としての意識を変えていくこと、企業としてはどこまでやるべきなのかを考えていくことが必要だ」との問題提起があった。
また2月20日には、自由民主党・道民会議(北海道)でも同様のカスタマーハラスメントの防止に関する条例制定に向けた検討部会が設置された。どちらかで制定されれば全国初の条例になる見込み。
「カスハラに該当する行為があった場合はサービス停止」など 先行する民間の取り組み
法的整備に先んじて、独自にカスタマーハラスメントに対する考え方を明示するなど、防止策を講じる企業もある。
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