トラブルを防ぐための出社拒否社員への対応策

休職、合意退職も視野に ハラスメントなど特別な理由で在宅勤務を希望する社員への対応方法

杜かきつばた若経営法律事務所 弁護士 岸田 鑑彦
最終更新日:
2023年12月22日
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前回「在宅勤務で仕事は回っているのに…… 出社拒否社員にオフィス勤務の必要性を納得させる方法は」では「出社する必要がない」ケースと「不公平な取り扱いに納得がいかない」ケースの出社拒否社員への対応方法を解説しました。今回は、「ハラスメントを受けている」ケース、「体調不良で在宅勤務しかできない」ケース、「遠方に引っ越してしまった」ケースの対応方法について紹介します。

「ハラスメントを受けている」ケースの対応方法

会社の出社命令に対して、ハラスメントを理由として応じられないということなので、それが正当な理由といえるかどうかを検討しなければなりません。すなわちハラスメント調査が必要になります。在宅勤務であっても上司と部下として業務上の接触があり得るので、もしハラスメントの事実があるならば、在宅勤務であれば放置してよいということにはなりません。ハラスメント対応が必要になるので、在宅勤務か通常出社かという問題とは別問題です。

したがって、まずはどのようなハラスメントがあったのかを相談者からヒアリングし、相談者の承諾を得て加害者に対してもハラスメント調査を実施することになります。

ちなみに、ハラスメントがあれば、在宅勤務を継続することが権利として生ずるわけではありません。あくまで、ハラスメント調査の結果を基に、会社が望ましい職場配置や処遇を検討することになります。そのため、相談者が在宅勤務の継続を希望していたとしても、たとえばハラスメントをした上司をほかの部署に異動させた上で、相談者に通常出社してもらうということはあり得ます。

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プロフィール

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杜かきつばた若経営法律事務所 弁護士
岸田 鑑彦

慶應義塾大学法学部法律学科卒業。2009年弁護士登録(第一東京弁護士会)、経営法曹会議会員。訴訟、労働審判、労働委員会等、労働事件の使用者側の代理を務め、労働組合対応として数多くの団体交渉に立ち会う。著書に『労務トラブルの初動対応と解決のテクニック』(日本法令)、『労働時間・休日・休暇( 実務Q&Aシリーズ)』(共著、労務行政)など。

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