トラブルを防ぐための出社拒否社員への対応策

在宅で仕事は問題なく回っているのに…… 出社拒否社員にオフィス勤務の必要性を納得させる方法は

杜かきつばた若経営法律事務所 弁護士 岸田 鑑彦
最終更新日:
2023年12月12日
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前回「在宅からオフィス回帰加速でトラブルも 出社を『拒む』社員に対し業務命令権を行使できるか?」では出社を拒否する社員に出社を命ずることはできるのか、命令を出す場合、どのような点に留意すればいいのか、また出社拒否をする理由について解説しました。今回は、「出社する必要がない」ケースと「不公平な取り扱いに納得がいかない」ケースの対応方法を紹介します。

「出社する必要がない」ケースの対応方法

(1)通常出社が予定されている場合

前回解説した通り、社員にどこでどのように勤務してもらうかは、濫用にならない範囲で会社が決めることができます。会社が自由な働き方を認めていない限り、社員には、「在宅で働きたい」「オフィスでは働きたくない」などといった選択をする権利はありません。したがって会社が出社を命じているのに、社員がこれを拒否すれば業務命令違反になります。

そもそも「在宅勤務で問題なく仕事が回っている」かどうかを判断するのは会社です。当該 社員の業務だけで判断するものでもありませんし、在宅勤務にメリットがあるとしても、全体的な検討の結果、出社の方がメリットあり、と判断することもあり得ます。在宅勤務でも仕事が問題なく回っているという主張は、出社命令の必要性の有無に影響を与えることはあり得ても、この事情だけをもって出社を拒否する正当な理由にはならないでしょう。

どのような在宅勤務が望ましいかという在宅勤務の在り方の問題と、現状の業務指示に従わないことに正当な理由があるかどうかは別問題です。このような主張があった場合には毅然とした対応が必要です。

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著者プロフィール

a-kishida

杜かきつばた若経営法律事務所 弁護士
岸田 鑑彦

慶應義塾大学法学部法律学科卒業。2009年弁護士登録(第一東京弁護士会)、経営法曹会議会員。訴訟、労働審判、労働委員会等、労働事件の使用者側の代理を務め、労働組合対応として数多くの団体交渉に立ち会う。著書に『労務トラブルの初動対応と解決のテクニック』(日本法令)、『労働時間・休日・休暇( 実務Q&Aシリーズ)』(共著、労務行政)など。

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