総務のマニュアル施行前に押さえておきたい 改正電子帳簿保存法

電子帳簿保存法の概要

公益社団法人 日本文書情報マネジメント協会(JIIMA)専務理事 甲斐荘 博司
最終更新日:
2021年11月01日
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新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、テレワークの推進、業務の電子化は避けて通れない状況となりました。政府もデジタル化に大きくかじを切り、国税関係帳簿書類等を電子保存する際の手続きなどについて大幅な見直しが行われる改正電子帳簿保存法が、2022年1月1日に施行されます。本企画では、そもそも電子帳簿保存法とはどのような法律なのかをあらためて紹介するとともに、本改正の背景と内容、総務・経理をはじめとする管理部門にどのような影響があり、対応する際のポイントはどこなのかを解説。初めに、e-文書法との関連を含めて電子帳簿保存法の概要を紹介します。

e-文書法と電子帳簿保存法

電子帳簿保存法は、正式には「電子計算機を使用して作成する国税関係帳簿書類の保存方法等の特例に関する法律」のことで、1998年7月に施行されました。

この法律は、納税者の国税関係帳簿書類の 保存についての事務負担やコスト負担の軽減などをはかるためのもので、これまで法人税法等の規定により紙に出力して保存しなければならなかった帳簿や書類のうち、自己が最初の記録段階から一貫してコンピューター処理によって作成した帳簿や書類について、税務署長の承認を受けた場合、適正公平な課税の確保のために必要となる一定の要件の下で、電子データまたはコンピューターから直接出力して作成するマイクロフィルム(COM)による保存を容認した特例法になります(ここでは、COMについての解説は割愛します)。

当初の電子帳簿保存法の施行時点では、外部から書面で受領した請求書や領収書等の国税関係書類のスキャナによる電子化保存(スキャナ保存)は、電子データの改ざん等に関する(ぜい)(じゃく)性のため、容認されていませんでした。

しかし、そのあとの情報通信技術の進展により電子データの改ざん検知技術等が確立されるようになり、2005年4月にe-文書法が施行され電子帳簿保存法が改正されました。このことにより、書面により外部から受領または自己が発行した国税関係書類について、一定の要件の下スキャナ保存が容認されることとなりました。

また電子帳簿保存法では、電子取引における取引情報の保存についても規定しています。

ここでいう電子取引とは、取引情報(取引に関して受領し、または交付する注文書、契約書、送り状、領収書、見積書その他これらに準ずる書類に記載される事項をいう)の授受を電子的方式により行う取引をいい、EDI取引のほかインターネットを利用した取引や電子メールによる取引等が含まれます。

国税関係帳簿書類の電子データによる保存は特例として認められていますが、これら電子取引における取引情報の保存は、承認申請が不要であるものの義務として規定されています。

国税関係帳簿書類等の保存方法

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※掲載されている情報は記事公開時点のものです。最新の情報と異なる場合があります。

著者プロフィール

JIIMA甲斐荘

公益社団法人 日本文書情報マネジメント協会(JIIMA)専務理事
甲斐荘 博司

2013年10月JIIMAの法務委員長として、電子帳簿保存法のスキャナ保存制度について規制緩和を要望。結果、2015年度の税制改正大綱に要望が盛り込まれ、スキャナ保存制度における大幅な規制緩和が実現。その後、2016年度改正分も含め、国税庁と運用面での協議を重ね、適正事務処理要件について運用ルールを明確にした。2018年10月現職に就任、現在に至る。 https://www.jiima.or.jp/

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