特許庁、「事例から学ぶ 商標活用ガイド」を刷新 商標での失敗や社員教育に活用した事例を紹介

月刊総務オンライン編集部
最終更新日:
2024年04月04日
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特許庁は4月3日、2024年版「事例から学ぶ 商標活用ガイド」を公表した。5年ぶりの刷新となる最新版では、「商標を取っていなかったがために起きてしまったこと」などの失敗事例を紹介する。

失敗事例を通じて、商標制度で気を付けるべきポイントを学ぶ

同ガイドは前半・後半の2部構成で、前半では商標・商標権の活用事例として、失敗事例の紹介や商標制度活用事例(18事例)を紹介する。

失敗事例では、他社による先取りや商標権の失効、商標権の内容確認の未実施など、国内・海外で実際に起きた失敗事例を取り上げるとともに、トラブル回避に向けたアドバイスも掲載している。

他社に先取りされてしまった国内事例

  • 店舗名を商標登録しないまま長年使っていたところ、他者が商標登録し、店舗名のほか、パンフレットや看板の変更を余儀なくされた
  • 提供予定のサービスを商標出願をしないでプレスリリースを出したところ、他社が先に、そのサービスの名称を出願・登録してしまった

現地法人との意思疎通が不十分で発生した海外事例

  • 自社の名義で所有していると思っていた商標権を調べたところ、実は現地法人や代理店が所有していることが判明した
  • 海外の現地法人や代理店が断りなく、登録商標を変更した形で使用していた

スタートアップから大企業まで商標・商標権を活用した具体的な事例を紹介

商標制度活用事例では、ベンチャー・スタートアップ企業から中小企業、大企業までさまざまな規模の企業による商標・商標権を活用した具体的な事例を紹介する。各事例は「商標に企業ポリシー・商品コンセプトが込められている」「リブランディング・商標の見直しを行っている」「商標に関する苦い経験がある」など8つの観点で分類し、顕著な特徴がある事例には「●」が付けられており、ひとめ目でわかるようになっている。

海外展開を見据え、多種多様な商標使用形態を統合

山本光学(大阪府東大阪市)は1911年創業、保護メガネ・レンズの開発を手掛ける企業。商標に関しては、メインブランドのひとつである「SWANS」をはじめ、ブランドやペットネームなど200近くを管理する。海外展開も行っており、ブランド展開の拡大に合わせ、国内外で商標出願を積極的に実施している。

一方で、多くの商標出願を繰り返した結果、一部の指定商品の登録漏れや一部の国で商標の更新登録漏れが起こり、侵害訴訟に悪影響を与え得るといった問題が発生した。そこで、同社はSWANSブランドの統合・整備に向けて、特許法務室が中心となり、保有する国内商標権の整理を行ったほか、海外の営業担当と相談しながら海外における商標の活用戦略を立てた。

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