新経済連盟が「働きがい改革」のための提言を公表 カギとなる「成長支援型労働制度」とは?
楽天グループ会長兼社長の三木谷浩史氏が代表理事を務める一般社団法人新経済連盟(東京都港区)は7月1日、雇用・労働市場に関する提言「いま、働き方改革から『働きがい』改革へのチェンジを」を公表した。この中では、労働時間法制の選択的柔軟化として、高度プロフェッショナル制度の拡充や次世代リーダー育成を目的とした新制度の創設を求めている。
「高度プロフェッショナル制度」拡充や「成長支援型労働制度」新設を提言
今回提言を公開した背景には、国内企業における働きがいの急激な低下がある。新経済連盟の発表によると、日本企業における「熱意のある社員」の割合は国際比較で世界最下位であり、また過去15年間で働きやすさは着実に改善しているものの、働きがいが急速に低下しているという。
こうした状況に危機感を感じる同団体は、働く人の「給与が増えるなら労働時間が増えてもよい」「個人の考えが尊重され、希望する人が長く働くことができる社会になるべき」といった労働時間に対する多様な価値観を尊重し、これに応える柔軟な労働時間制度が必要であるとし、働きがい改革のための提言を行った。
同提言は、以下の3つの考え方を基本としている。
- 一人ひとりが仕事にやりがいを感じながら、自律的にキャリアを形成していくことを通じて労働市場の流動性を促進し、ひいては我が国の持続的な成長につなげる
- 業界・業種・職種の実態やデータに基づき、問題の原因を精緻かつ省庁横断的に分析し、現行の労働法制の枠を超えた議論をしていく必要がある。
- 労働時間の上限規制を含む一律的な労働時間法制は、多様な働き方の希望を阻害する要因となっている。キャリア設計やライフステージ等を背景とした個人の考えが尊重され、働きたい意欲に応える柔軟な労働時間制度が必要である
労働時間法制の選択的柔軟化に向けては、業種要件を撤廃し、1075万円以上の年収要件のみとする「高度プロフェッショナル制度」の拡充に加え、成長意欲があり一定の基礎能力を持つ労働者に対し、健康・福祉確保措置を前提に、労働時間に関する規定を一部適用除外とする次世代リーダー育成のための新制度「成長支援型労働制度(仮称)」の新設を求めた。
「成長支援型労働制度」は原則、労働時間上限なし(適用除外)、割増賃金が発生するなどの点が特徴だ。評価軸は、成果と本人の成長に基づき、研修・メンター制度などを企業に要請し、個人の成長を積極支援するという。
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