コラム

リスクマネジメント / 情報セキュリティ / 情報セキュリティ

情報セキュリティ散策 第11回:セキュリティリテラシー

2014年04月01日

 私は、ドラマフリークである。各クールの初め(3カ月ごと)に一通りの地上波テレビのドラマをチェックし、見る対象を決める。対象は5、6番組くらい。それらを順に見ていって、面白くないと断じたところでやめていく。

 最近は、ドラマ受難の時代を反映してか、最後まで見続けるドラマが減っている。1番組くらいしか生き残らないこともある。また、残念ながら最初に選ばなかったドラマが、結果的には面白かったという例もある。2011年の高視聴率番組は当初見逃していたが、家族の評判が良かったので途中から見始めた。ちなみに昨年の高視聴率番組はちゃんとチェックしていた。まあ、ドラマは嗜好品なので、良い悪いの基準を他人に押し付けようとは思わないが(思っていないんですよ)、たまたま見た再放送で過去の良い作品に触れると、最近のはどうもなあと思ってしまうこともある。

 なんでドラマを持ち出したかというと、昨年だったか、たまたま日本のテレビドラマとアメリカのスパイ映画を続けて見たときがあって、セキュリティの設定に大きな差があり愕然としたことを述べたいと思ったからである。

 日本のドラマでは、組織の重要機密情報をしまった格納庫の認証が4桁の数字のパスワードで、そこに家族の誕生日か何かのパスワードが設定されていた。それは破られるでしょう。さらに先にあげた高視聴率番組では、あるグループではパスワードを付箋に書いて、机の下に貼っておく文化があるというのがあった。笑えない笑い話である。

 他方、アメリカのスパイ映画は、生体認証はもとより、監視カメラや警備員による監視、2人で同時にしないと解錠できない仕組みなど、様々な仕組みを使って厳重である。強いて言えば、インターネットを使って音声情報や監視カメラ映像など何でも手に入ってしまうところに少々違和感があるが、これは近未来の現実かもしれない。

 視聴率低迷で元気のないドラマにケチをつける気はないが(つけているが)、前述したようなややお粗末なセキュリティ設定をテレビで流されると、これが当たり前と思う人が増えてしまいそうなのが気になる。そんなところを一生懸命見ているビジネスマンはお前くらいだというのが実態なら、まあ救われるのだが。

 また、アメリカの作品との設定の差も気になる。映画だけでなくアメリカ製テレビドラマには手の込んだ最新鋭の仕組みがどんどん出てくるものがあり、大変勉強になる。日本のセキュリティは遅れていると専門家が言うことの遠因は、こんな点にもあるのかもしれない。時代劇の時代考証にも最近は綻びを感じることが多いので、時代には逆行するのかもしれないが、できれば技術考証とかセキュリティ考証とかいうスタッフを設け、技術者や専門家の意見を入れるような方向にもっていけないだろうか。技術系の会社がドラマ番組のスポンサーに含まれている場合もあるのだから。

 セキュリティに関する常識というのは、最近では社内教育のカリキュラムに組まれているケースも多いと思うが、もともと仕事のノウハウとは別で、教育の中で重要視されているとは言えない面がある。さらに常識のようなものは、ただでさえ浸透し難い。お客さまとの関係性が薄そうに見えるスタッフ部門などに、常識が浸透しているかは疑問な面がある。「パスワード忘れちゃうので付箋に書いて貼っています」はさすがになくても、「パスワード共有しないと不便なので、うちの部門のパスワードは全部同じです」というのは、結構どこにでもあるリスクな気がする。

 セキュリティリテラシーの向上と健全なる常識の醸成のため、まずはドラマから改善して欲しいと思う次第である。

早乙女 真
​​MENU