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国際ビジネス契約書のポイント【第4回】準拠法条項

2020年01月16日

 今回より、さまざまな契約書に共通する各種条項について解説していきます。まずは準拠法に関する条項です。


Governing Law

This Agreement shall be governed by and construed in accordance with the laws of Japan without reference to principles of conflict of laws.

準拠法

本契約は、法の抵触の原則に関わりなく、日本法に準拠し、日本法に従って解釈されるものとする。


■準拠法条項は必ず設けるべき

 適用法に関する条項がない場合、紛争になった場合にあらためて適用法を確認・検討する必要があります。さらに、相手方と準拠法に関する主張が食い違う場合には、前提であるはずの準拠法をどの法律にするかというところから紛争となり、時間と費用を浪費することになりかねないため、仮に先方指定の法律で合意せざるを得ないとしても、準拠法に関する条項は必ず定めておくことをお勧めします。

■絶対的強行法規に注意

 適用法については当事者が自由に合意できることが一般的ですが、当事者同士が合意しても排除することのできない「絶対的強行法規」と呼ばれる類型のルールが存在します。

 たとえば日本の事例で、使用者と労働者がフランスの法律を雇用契約の準拠法にすることに書面で合意したとしても、労働者が希望する限り、労働契約法等日本の労働者を保護するための法律が適用されます(法の適用に関する通則法第12条)。

■「法の抵触の原則」の排除

 丁寧な準拠法条項では、例文のように実体的な準拠法をより明確にするため、法の抵触の原則が排除されています。たとえば単純に「日本法に従って解釈される」とのみ定められている場合、日本法の1つである法の抵触に関するルール「法の適用に関する通則法」が適用され、同法に従って最終的な準拠法が定められるのではないか、という疑義(あるいは相手方当事者からのクレーム)を生じさせかねないため、このような手当てがされているのです。

■売買契約ではCISGの排除について検討

 国際売買契約では,国連物品売買統一条約(通称ウィーン条約、あるいは"the United Nations Convention on Contracts for the International Sales of Goods", "CISG")の適用に注意しましょう。

 日本のような同条約の締結国間における物品売買等、ウィーン条約が締結される状況では、たとえば単に「本契約は日本法に従って解釈される」と定めると、自動的にウィーン条約が適用される可能性があります。ウィーン条約の適用を排除したい場合、明確に、契約書に「本契約の当事者は国連物品売買統一法条約の適用を排除する(The parties hereto exclude the application of the Unitec Nations Convention on Contracts for the International Sales of Goods)」等記載しておくことが重要です。

安田 健一
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