労働基準法:時季変更権

最終更新日:2025年09月01日

時季変更権とは、労働者が希望する日に年次有給休暇を取得しようとした際、事業の正常な運営を妨げる場合に限り、企業がその取得時季を変更できる権利である。労働基準法第39条に基づく制度で、労働者の休暇取得の自由と企業の事業運営の両立を図ることを目的としている。

時季変更権の目的

本制度の目的は、労働者の年次有給休暇取得権を保障しつつ、企業の業務遂行に著しい支障が出ないように調整を行うことにある。

時季変更権が認められる条件(例)

以下のような場合において、時季変更権が認められる可能性がある。

  • 業務に重大な支障が生じる場合(例:繁忙期において人手が著しく不足し、代替要員の確保も困難な場合など)
  • 特定の担当者の不在によって業務遂行が困難になる場合(例:重要な業務や研修等において、当該労働者の不在が直接的な支障となる場合)

時季変更権を行使する際の注意点

時季変更権は、年次有給休暇の取得そのものを拒否するものではなく、取得時季の変更に限った権利である。労働者の休暇取得の自由が原則であるため、時季変更権は限定的かつ厳格な条件のもとでのみ行使可能である。企業側の都合だけでは認められない。

従業員への説明と合意形成が重要

時季変更を行う際には、その必要性について丁寧な説明を行い、可能な限り労働者の理解と協力を得ることが望ましい。

企業側にも努力義務

また、時季変更権の行使に先立ち、他の従業員での代替対応や納期調整の可否など、企業側が業務継続のための努力を行う必要がある。

参考:厚生労働省ホームページ

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