ISO30414を読み解く 人的資本の情報開示のポイント

企業に求められる「人的資本」の情報開示の動向、その必要性の解説

株式会社クニエ ヒューマンキャピタルマネジメント担当 シニアマネージャー 三沢 直之
株式会社クニエ ヒューマンキャピタルマネジメント担当 コンサルタント  望月 駿
最終更新日:
2021年09月01日
202109_050_ogp

「人的資本の情報開示」──このキーワードが人事の世界で盛り上がりを見せています。2020年、米国証券取引委員会(SEC)が上場企業に対し、人的資本の情報開示を義務付けたことが大きな話題となりました。人的資本を重視する動きはすでに世界的な潮流であり、日本にも着実に影響を与え始めています。人的資本の情報開示が求められる背景や、ガイドラインとして注目される「ISO30414」の概要とその活用方法について、本稿で3回にわけて解説していきます。

人的資本の情報開示

人的資本とは

人的資本とは「Human Capital」の訳で、「モノ」や「カネ」のように、人の持つ能力などを資本として捉えた経済学の概念です。日本でも発行企業が増えている統合報告書にて参照されている国際統合報告評議会(IIRC)のフレームワークでは、人的資本を「人々の能力、経験およびイノベーションへの意欲」と定義しています。

企業はこれまで人的資源(Human Resource)の考え方から、人を資源として「管理する」ものと捉え、人材に投じる資金を「費用(コスト)」と考えてきたといわれます。

一方、人的資本は、人を経営に必要な資本とし、人の成長を通じた価値創造を実現するため「蓄積する」ものと捉え、人材に投じる資金は「投資」と考えます。

なお、人的資本への投資はダイレクトに業績貢献につながるものではないため、知識・スキルの向上のほか、モチベーションや健康の増進、幸福感の獲得、協調や良好な風土形成など、人だからこその影響を考慮しながら行う必要があります。

人的資本の重要性

GAFAMと呼ばれる米国の主要IT企業に代表されるように、21世紀はナレッジ型経済の時代ともいわれ、人の持つKSAO(知識、スキル、能力、その他の特性)が重視されます。

米国の代表的な株価指数であるS&P500構成企業の市場価値の変遷を見るとそれは明らかです(図表1)。

図表1 S&P500市場価値の構成要素
図表1 S&P500市場価値の構成要素

続きは「月刊総務プレミアム」会員さまのみ、お読みいただけます。

  • ・実務や法改正の解説など、情報価値の高いWEB限定の有料記事が読み放題
  • ・デジタルマガジンになった『月刊総務』本誌が読み放題
  • ・『月刊総務』本誌を毎月の発売日にお届け
  • ・当メディアが主催する総務の勉強会や交流会などのイベントにご優待
  • ・スキルアップに最適なeラーニングコンテンツが割引価格に

※掲載されている情報は記事公開時点のものです。最新の情報と異なる場合があります。

プロフィール

202109_050_03

株式会社クニエ ヒューマンキャピタルマネジメント担当 シニアマネージャー
三沢 直之

戦略系コンサルティング会社にて経営全般(中期経営計画策定、ISO認証取得、マーケットリサーチ等)のコンサルティングに従事後、人材系ベンチャーにて事業企画室の室長、および現場のマネジメントに従事。銀行系シンクタンクにて人事全般のコンサルティングサービスを提供後、2018年より現職。社会保険労務士。

202109_050_04

株式会社クニエ ヒューマンキャピタルマネジメント担当 コンサルタント
望月 駿

大学卒業後、現職。主に、タレントマネジメントシステムをはじめとした人事系システムの導入・構築・業務プロセス変革支援に従事。大手メーカー、生命保険会社、電力会社などに対して、人事業務効率化のためのビジネスツール導入、人事課題の分析・可視化、業務プロセス設計支援、タレントマネジメントシステムの導入・運用支援などのプロジェクト経験を持つ。

関連記事

  • レンタカーの安全運転管理も可能! コストを抑え、車両管理にかかわる日常業務の負担を減らす方法 PR
  • 食で社員を応援! 総務が値段を決められる自由さがポイント。豊富なアイテムがそろうミニコンビニ PR
  • 何となくで選んでない? 実は重要なオフィスの「照明」。空間に合った明るさや色味が与える効果 PR

特別企画、サービス