「穴埋め要員」思考は失敗のもと! スキマバイト人材を生かす3つの現場マネジメントスタイル
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前回ご紹介した通り、「スキマバイト(スポットワーク)」活用の現場では、管理者側から「仕事を教えるのが大変」「人物像がわかりにくい」といった困惑の声が聞かれます。一方で働く側からも「仕事の教え方がわかりにくい」「マニュアルがない」「従業員の態度が冷たい」といった不満が浮き彫りになっています。これらの課題は、個々の資質の問題というより、「従来のOJT前提の現場運営」と、「事前情報ゼロで単発的にかかわるスキマバイト」という働き方の特性との間に生じる構造的なミスマッチに起因していると、私は捉えています。
従来の延長線上で、単に労働力不足の「穴埋め」として割り振るだけでは、現場の混乱や疲弊は解消されません。最終回となる今回は、このミスマッチを乗り越え、スキマバイト人材を「生かす」ために求められるマネジメントのポイントを、パーソル総合研究所の調査から見えた3つの方向性から解説します。
前提:「即戦力」という期待値のわな
具体的なマネジメント手法に入る前に、大前提として重要なのが「期待値のコントロール」です。
現場の管理者は、労働力不足の解消を期待するあまり、スキマバイト人材に「即戦力」を求めがちです。しかし、面接も書類選考もなく、初めて働く人に既存従業員と同じパフォーマンスを期待するのは現実的ではありません。この期待値のズレが、「こんなこともできないのか」という失望や、「いきなり高度なことを求められても困る」という戸惑いを生むもとです。
活用の第一歩は、「即戦力として自律的に動いてもらう」と期待するのではなく、「整備されたマニュアルや指示に沿って、決められた業務を正確に遂行してもらう」ことをゴールに設定する、という意識の転換です。この前提に立つと、具体的な施策が見えてきます。
スキマバイト人材を生かす「3つのマネジメント」
では、具体的にどう行動すればよいのでしょうか。私たちの調査で、管理職の行動がスキマバイト人材の再就業意向(「また働きたい」)などにどう影響するかを分析したところ、現場には大きく3つのマネジメントスタイルが求められることが見えてきました(図表)。
これらはどれか一つでよいというわけではなく、状況や相手に応じて使い分ける「マネジメントの合わせ技」が、これからの現場管理者には求められています。
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