スキマバイト活用のメリットの裏に潜む2大リスク 総務・人事と現場、それぞれが留意すべきことは?
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前回は、「スキマバイト(スポットワーク)」が注目される背景と企業の活用メリットを解説しました。慢性的な労働力不足などを背景に市場は拡大しており、企業にとって短期的な労働力確保や需給ギャップの「調整役」として有効です。しかし、急速な普及に対し、企業側の制度設計や現場の受け入れ体制が追いついていない側面も散見されます。まさに現実のニーズが先行し、制度や運用が後追いしている状況です。
今回は、こうしたスキマバイト人材活用の「影」の部分、すなわち企業が直面するリスクと留意すべきポイントについて、大きく2つの側面(ガバナンスと現場マネジメント)に分けて解説していきます。
1. 企業が直面する「ガバナンス」のリスク
まず、企業の総務・人事部門が押さえておくべき、法的・制度的なガバナンスのリスクです。
ギグワークとの決定的な違い
留意点の前に、混同されがちな「ギグワーク」との違いを明確にする必要があります。単発・短時間の仕事という点は似ていますが、法的な位置付けが異なります。
ギグワークの多くは、働く個人が「個人事業主」として業務委託契約を結びます。この場合、両者は対等な事業者間取引であり、原則として労働者保護法令は適用されません。一方、本稿で扱うスキマバイトは、働く個人が「労働者」として企業と雇用契約を結びます。たとえ数時間、1日単位でも、企業は使用者として、労働基準法や最低賃金法、労働安全衛生法といった各種法令を遵守する義務を負います。
この「雇用契約である」という大前提が、ガバナンス上のリスクの根幹となります。
留意点1:社会保険の加入問題
スキマバイトは単発・短時間だから社会保険は関係ない、とはいい切れません。特定の企業で継続的にスキマバイトを繰り返した結果、意図せず社会保険の加入要件を満たしてしまうリスクがあります。
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