総務のマニュアル「また働きたい」と思ってもらうには? スキマバイト時代の現場マネジメント術

スキマバイト活用のメリットの裏に潜む2大リスク 総務・人事と現場、それぞれが留意すべきことは?

株式会社パーソル総合研究所 研究員 中俣 良太
最終更新日:
2025年12月18日
202512c_00

前回は、「スキマバイト(スポットワーク)」が注目される背景と企業の活用メリットを解説しました。慢性的な労働力不足などを背景に市場は拡大しており、企業にとって短期的な労働力確保や需給ギャップの「調整役」として有効です。しかし、急速な普及に対し、企業側の制度設計や現場の受け入れ体制が追いついていない側面も散見されます。まさに現実のニーズが先行し、制度や運用が後追いしている状況です。
今回は、こうしたスキマバイト人材活用の「影」の部分、すなわち企業が直面するリスクと留意すべきポイントについて、大きく2つの側面(ガバナンスと現場マネジメント)に分けて解説していきます。

1. 企業が直面する「ガバナンス」のリスク

まず、企業の総務・人事部門が押さえておくべき、法的・制度的なガバナンスのリスクです。

ギグワークとの決定的な違い

留意点の前に、混同されがちな「ギグワーク」との違いを明確にする必要があります。単発・短時間の仕事という点は似ていますが、法的な位置付けが異なります。

ギグワークの多くは、働く個人が「個人事業主」として業務委託契約を結びます。この場合、両者は対等な事業者間取引であり、原則として労働者保護法令は適用されません。一方、本稿で扱うスキマバイトは、働く個人が「労働者」として企業と雇用契約を結びます。たとえ数時間、1日単位でも、企業は使用者として、労働基準法や最低賃金法、労働安全衛生法といった各種法令を遵守する義務を負います。

この「雇用契約である」という大前提が、ガバナンス上のリスクの根幹となります。

留意点1:社会保険の加入問題

スキマバイトは単発・短時間だから社会保険は関係ない、とはいい切れません。特定の企業で継続的にスキマバイトを繰り返した結果、意図せず社会保険の加入要件を満たしてしまうリスクがあります。

続きは「月刊総務プレミアム」会員さまのみ、お読みいただけます。

  • ・実務や法改正の解説など、情報価値の高いWEB限定の有料記事が読み放題
  • ・デジタルマガジンになった『月刊総務』本誌が読み放題
  • ・『月刊総務』本誌を毎月の発売日にお届け
  • ・当メディアが主催する総務の勉強会や交流会などのイベントにご優待
  • ・スキルアップに最適なeラーニングコンテンツが割引価格に

※掲載されている情報は記事公開時点のものです。最新の情報と異なる場合があります。

プロフィール

r-nakamata

株式会社パーソル総合研究所 研究員
中俣 良太

大手市場調査会社にて、調査・分析業務に従事。従業員満足度調査をはじめとするさまざまな定量調査を担当。2022年8月パーソル総合研究所入社。主に、労働力不足や働き方の多様性(副業、スキマバイトなど)に関する調査・研究を行っている。

関連記事

  • 自社に最適なレイアウトや座席数は? 診断ツールで“理想のオフィス”を言語化 PR
  • 12年保存で入れ替えコストも手間も削減! 非常時は企業ネットワークで支え合う備蓄水 PR
  • シーンに合った「場づくり」でコラボレーションを加速 最新の共創スペースに学ぶこれからの働き方 PR

特別企画、サービス