総務のマニュアルバックオフィススタッフが知っておきたい M&Aの実務

各部署から見たM&A(経理編)

弁護士法人菰田総合法律事務所 代表弁護士・社労士 菰田 泰隆
最終更新日:
2021年10月01日
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情報やサービスが多様化される今、さまざまな事業領域とのシナジーを生むために企業間でのM&Aが多用され、その件数は急増しています。このような時代において、総務をはじめとする会社のバックオフィススタッフが、自社のM&Aにかかわる機会はますます増えてくるでしょう。本稿では、M&Aの各スキームに関する一般的な知識だけではなく、総務・経理・人事担当者がM&Aにかかわる際、どんなことを考え、どんな作業を行わなくてはならないかという、普段はあまり焦点を当てられることのない裏側について解説します。今回は、各部署における具体的な実務のうち、経理部署について詳しく解説していきます。

経理とM&A

経理として特に気にしておくべき点は、統合後の業務フロー面と資金の流れの部分です。これらが適正かつ円滑に進まないと今後の経営に大きな影響が出てしまいますので、抜け漏れなく進めていきましょう。

(1)会計ソフト面

M&Aにより、2つの法人が統合するとなると、これまで使用していた会計ソフトがそれぞれの法人で異なるという場合も多いでしょう。どのようなスキームを採用するにしても、吸収する側の法人が利用していた会計ソフトを、そのまま継続して使用することが一般的ですので、その場合は統合後に新たな作業が発生するということはありません。

一方、場合によっては、統合のタイミングで今後使用する会計ソフトの見直しを行うケースもあります。その際は、現在使っている会計ソフトから、新たな会計ソフトへ会計データを移行させなければなりませんが、各ソフトによってデータの移行手順が異なるだけでなく、会計ソフトの種類によっては会計データ移行の対象外で物理的に移行ができないという可能性もありますので、注意が必要です。まずは現在使っている会計ソフトが新たに移行予定の会計ソフトに問題なくデータ移行できるかを確認し、その上で、業務上の支障が最小限になるようなスケジュールを立てて移行作業を実行することが大事です。

なお、業種によっては特定の会計ソフトを利用しなくては会計処理が難しい場合もありますし、業務に使う基幹システムとの連携を考えると会計ソフトの変更が多大な業務効率の低下につながることもあります。また、会計ソフトによっては、ソフト会社が有償でデータ移行を請け負ってくれるケースもありますので、問い合わせてみてください。

(2)仕訳入力業務

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著者プロフィール

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弁護士法人菰田総合法律事務所 代表弁護士・社労士
菰田 泰隆

2012年弁護士登録、2013年1月菰田法律事務所開業(現:弁護士法人菰田総合法律事務所)。2016年社労士登録、税理士登録。複数の士業が融合したワンストップサービスを特徴とし、顧問先の法務・労務・税務面を総合的にサポートしている。

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