M&Aの各スキームにおける 手続きとスケジュール(2)

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情報やサービスが多様化される今、さまざまな事業領域とのシナジーを生むために企業間でのM&Aが多用され、その件数は急増しています。このような時代において、総務をはじめとする会社のバックオフィススタッフが、自社のM&Aにかかわる機会はますます増えてくるでしょう。本稿では、M&Aの各スキームに関する一般的な知識だけではなく、総務・経理・人事担当者がM&Aにかかわる際、どんなことを考え、どんな作業を行わなくてはならないかという、普段はあまり焦点を当てられることのない裏側について解説します。M&Aで必要な手続きは、各スキーム(合併・株式譲渡・事業譲渡)によって異なります。ここでは、各スキームにおいて必要な手続きやスケジュールを見ていきます。第2回となる今回は、株式譲渡や、事業譲渡について解説します。
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株式譲渡
(1)概要
株式譲渡とは、売り手側の会社の既存株主が自己の保有する株式を買い手側の会社に譲渡(売却)することで、売り手側の会社の経営権を譲渡するM&Aの手法です。
株式譲渡では、売り手側の会社は存続します。つまり、株式譲渡では、売り手側の会社の財産、契約関係や許認可をすべてそのままの状態で買い手企業に引き継ぐことができます。
売り手側の会社からすれば、素早く現金化が可能で、後継者問題を解決できますし、買い手側の会社のブランド力や人材などのリソースを利用してさらなる成長をはかれます。また、買い手側の会社からすれば、許認可等の再申請が不要なため、許認可の必要な新規事業をすぐに開始できますし、従業員と雇用契約を締結し直す手間が省けます。何より後述する事業譲渡に比べれば、会社法上必要な手続きが少なく、短期間でのM&Aを遂げることが可能です。そのようなシンプルさから、中小企業のM&Aで、非常に多く利用されている一般的な手法です。
(2)株式譲渡のスケジュール
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