一人ひとりが実践するアジャイル仕事術 総務全体で目指すべきは汎用性の高い社内プラットフォーム
社会の変化に伴い可能な限り俊敏な反応が求められる中で、個人に必要な力とは何か。『超速で成果を出すアジャイル仕事術——プロフェッショナル2.0という働き方』の著者である坂田幸樹さんは、5つの要素を挙げる。それらを踏まえた上で、企業の総務部門はどのような存在を目指すべきなのだろうか。
取材・文◎武田 洋子
業界の境界が失われ共創型の仕事が主流になる
アジャイルな仕事のやり方が必要となった背景には世界的な社会の変化があるが、具体的に何が変わったというのだろうか。坂田幸樹さんは、まず「業界」という概念が消失しつつあることを指摘する。従来は「小売業界」「金融業界」など明確なカテゴリーが存在したが、現在、世界を席巻しているのはGAFAM※に代表される情報技術産業であり、これらが提供するプラットフォーム上にあらゆる企業が参画する形が主流となっている。アマゾンで売買される多様な製品や映像配信サービスなどはいい例だ。
※GAFAM=Google、Amazon、Facebook、Apple、Microsoft
共同経営者
IGPI シンガポール 取締役 CEO
坂田 幸樹さん
早稲田大学政治経済学部卒、IEビジネススクール経営学修士(MBA)。大学卒業後、キャップジェミニ・アーンスト&ヤング、日本コカ・コーラ株式会社を経て、創業期の株式会社リヴァンプ入社、企業のハンズオン支援に従事。IGPIに入社後の2013年、IGPIシンガポール立ち上げのためシンガポールに拠点を移す。現在は3拠点、8国籍のチームで日本企業や現地企業、政府機関向けのプロジェクトに従事。
業界の形の変化に合わせ、社内では縦割り組織の壁をなくす必要がある。これまでは事業部ごとに分断され、同じ会社であっても横のつながりはさほど重要視されてこなかった。人事や総務のバックオフィスにしても、互いの機能ははっきりと分かれていたはずだ。その壁がなぜ必要ないのかといえば、縦割り文化に特有の融通の利かなさが、時代の変化のスピードに全く対応できないからだ。特にここ数年は、コロナ禍がDXを加速させ、変革を促した。
「しかし日本ではその場しのぎの対応が目立ち、変革のチャンスを十分に生かせなかったのではないかと感じています。コロナ給付金にしても、シンガポールでは国民IDにひも付けられた口座に即座に振り込まれましたが、日本ではずいぶん混乱していましたね。これは縦割り文化から抜け出せない、官公庁に問題の一端があると考えられます」
業界や組織の境界があいまいになると同時に、サプライヤーとのつながりもまた縦から横方向へと変化している。これまで、自動車業界であれば大手メーカーを頂点に多数のサプライヤーが縦並びに組織化されているのが一般的であり、建設業界でも多数の下請け企業がゼネコンの傘下に入っていた。発注する側と受注する側が明確だったのだ。しかし今後は、業界を越えた多様なプレーヤーが連携する「共創型」が主流になる(図表1)。
※掲載されている情報は記事公開時点のものです。最新の情報と異なる場合があります。
アクセスランキング
ダウンロード資料、アイテム
特別企画、サービス
-
総務が押さえておくべき 2023(令和5)年に施行の法令改正情報
2023年は2022年に引き続き施行される育児・介護休業法のほか、労働基準法や労働安全衛生法、国民年金法の改正法令などが施行されます。本稿では今年に施行等される法令の中で、総務業務関連のものをピックアップしました。 -
【編集部厳選】総務1年生にオススメしたいコンテンツ20本
『月刊総務』編集部が、総務1年生やこの春久々に総務業務を担当する方にオススメのコンテンツを厳選。この機会に、総務実務の基本はもちろん、ビジネススキルや総務の考え方について学んでみませんか? -
総務のマニュアル
総務・バックオフィスの実務を実践的にサポートする「総務のマニュアル」シリーズ。ビジネストレンドを押さえた内容で、いま総務が知っておきたいポイントを具体的に解説していきます。 -
多様な働き方に対応する 社内コミュニケーション術
リモートワーク、ABWなど働き方の多様化がさらに広がっています。対面のコミュニケーションが減っている中においても、コミュニケーションを活性化するために、どうしていくべきでしょうか。 -
テレワークを実現するペーパーレス化と文書管理のポイント
ハイブリッドワークの需要が高まったものの、総務・経理などの管理部門では、請求書や契約書など書類のデジタル化に対応できず、出社を余儀なくされた方も多いのではないでしょうか。 -
総務辞典
総務辞典とは、どなたでもご利用いただける、総務業務に関する一般知識、関連法令や実務ノウハウなど総務に関する用語辞典です。 -
無料オンラインセミナーのご案内
月刊総務が開く、無料オンラインセミナーの予定はこちらからご確認ください。さまざまな企業と共催し、より専門的な知識を幅広いテーマで発信。総務の皆様の情報収集にお役立てください。 -
『月刊総務』調査
『月刊総務』では、不定期にアンケート調査を実施し、その結果を公開しています。全国の総務パーソンがどのように業務に対応しているのか、何を感じているのか、総務の現状を確認してみましょう。 -
YouTube 月刊総務チャンネル
『月刊総務』公式YouTubeチャンネルです! 「働き方」「戦略総務」などのテーマについて、数分で気軽にキャッチできる情報を発信していきます。ぜひ、チャンネル登録をお願いします! -
業務効率化&コスト削減 購買プラットフォーム
オフィス用品に関する困りごとを解決し、業務効率化とコスト削減を実現いたします。Kobuyは、一貫堂が提携するパートナーサプライヤに加え、お客様ご希望のサプライヤ商品・サービスを一元管理できるオフィス用品一括購買システムです。