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外資系IT企業では当たり前だったアジャイル開発手法を、藤井彰人さんは2013年に入社したKDDI株式会社でも導入。小さな1チームからスタートしたアジャイル開発は、3年後に「アジャイル開発センター」として組織化され、2022年には独立した事業会社に。発足メンバーだった藤井さんと荒本実さんにアジャイル開発手法の一つ、スクラムについて聞いた。
取材・文◎武田 洋子
1チームからスタートした「アジャイル開発」が事業化
KDDI株式会社に入社した当時、藤井彰人さんはソフトウエアサービスの企画開発手法が前職の外資系IT企業とは全く違うことに戸惑った。周囲のエンジニアの間で、アジャイル開発という考え方を知らない者はいなかったが、本格的に挑戦する段階には至っていなかったのだ。
「しかし当時すでに、市場変化のスピードに開発が追い付いていなかったり、企画・開発・運用という役割分担が確立した結果、それぞれの担当が業務の遂行を最終的なサービスとしてのアウトプットよりも優先する傾向にあるなど、課題は見えていました。そこで10人程度の小さなチームから、アジャイル開発を始めたのです」
法人向けクラウドサービスで初のアジャイル開発を導入したところ、スピードと生産性の高さが証明され、その後はコンシューマー向けサービスなど開発領域を拡大。3年後には専門の「アジャイル開発センター」を発足するまでになった。今年7月に事業を開始したKDDI Digital Divergence Holdings 株式会社は、分社化したアジャイル開発センター株式会社をはじめ、それぞれに専門分野を持つ4社を傘下に置き、企業のDX支援を目指している。
一翼を担うScrum Inc. Japan 株式会社は、アジャイル開発の手法である「スクラム」を日本国内に広めるべく設立された。「スクラム」は、ソフトウエア開発だけでなく、あらゆる業界・業種においてチームで仕事を進めるための枠組みだ。真に機能すれば、「生産性を2倍にし、時間は2分の1に短縮する」ことが可能だが、型だけをなぞってもそうはならない。同社では、企業が「スクラム」を正しく実践するための導入支援や研修を開催している。
藤井さんと荒本実さんがKDDIで最初に実践したアジャイル開発に用いた手法が、このスクラムだった。
正しい検証と学びがあれば生み出す成果を倍以上に
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