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日本特殊陶業株式会社の社内カンパニー「Business Creationカンパニー」は、ティール組織のホラクラシーをベースにした組織のアジャイル化に取り組んでいる。人材マネジメントを担当する塚田哲司さんと、アジャイル導入をけん引した川瀬広樹さんに、これまでの成果をうかがった。
取材・文◎武田 洋子
新事業の創出にあたり組織の風土から変革
日本特殊陶業株式会社は1936年創業。自動車のスパークプラグや内燃機関用関連品の製造で世界トップのシェアを誇る、従業員数約1万6,000人(連結)の大企業だ。社内カンパニーである「Business Creationカンパニー」は、市場の変化に伴う新事業の創出を担っている。前提になるのは「決められた仕事を決められた期日までにやり切る」という従来の形からの脱却だ。
副カンパニー長の稲垣浩さんは、イノベーションを起こすには若手が声を上げやすい風土の創造とメンバーの自律が必須であると考えていた。塚田哲司さんは、当時を振り返る。
「若手と中堅社員で風土変革のプロジェクトチームをつくり徹底的に議論した結果、4つの価値観を共有することができました。『顧客価値の追求』『多様性活用』『個々が生む価値』『社内の文化的常識からの離脱』です」(塚田さん)
みんなで決めた共有価値観をベースに具体的な組織変革を始めるための手法が検討される中、副社長の松井徹さんがアジャイル開発手法のスクラムと、ティール型組織運営のホラクラシーを試してみたいと案を出す。これが、同カンパニーにおけるアジャイル化の最初の一歩となった。
風土変革プロジェクトの一人だった川瀬広樹さんは3日間の研修を受け、スクラムは自分たちが目指すべき姿を実現できる手法だと実感。まず、当時所属していた人材開発課にプリインストールした。新事業の開発にスクラムを導入したことで、息継ぎなく続く開発の苦しさから解放される感覚があったという。
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