一人ひとりが実践するアジャイル仕事術 総務全体で目指すべきは汎用性の高い社内プラットフォーム
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社会の変化に伴い可能な限り俊敏な反応が求められる中で、個人に必要な力とは何か。『超速で成果を出すアジャイル仕事術——プロフェッショナル2.0という働き方』の著者である坂田幸樹さんは、5つの要素を挙げる。それらを踏まえた上で、企業の総務部門はどのような存在を目指すべきなのだろうか。
取材・文◎武田 洋子
業界の境界が失われ共創型の仕事が主流になる
アジャイルな仕事のやり方が必要となった背景には世界的な社会の変化があるが、具体的に何が変わったというのだろうか。坂田幸樹さんは、まず「業界」という概念が消失しつつあることを指摘する。従来は「小売業界」「金融業界」など明確なカテゴリーが存在したが、現在、世界を席巻しているのはGAFAM※に代表される情報技術産業であり、これらが提供するプラットフォーム上にあらゆる企業が参画する形が主流となっている。アマゾンで売買される多様な製品や映像配信サービスなどはいい例だ。
※GAFAM=Google、Amazon、Facebook、Apple、Microsoft
業界の形の変化に合わせ、社内では縦割り組織の壁をなくす必要がある。これまでは事業部ごとに分断され、同じ会社であっても横のつながりはさほど重要視されてこなかった。人事や総務のバックオフィスにしても、互いの機能ははっきりと分かれていたはずだ。その壁がなぜ必要ないのかといえば、縦割り文化に特有の融通の利かなさが、時代の変化のスピードに全く対応できないからだ。特にここ数年は、コロナ禍がDXを加速させ、変革を促した。
「しかし日本ではその場しのぎの対応が目立ち、変革のチャンスを十分に生かせなかったのではないかと感じています。コロナ給付金にしても、シンガポールでは国民IDにひも付けられた口座に即座に振り込まれましたが、日本ではずいぶん混乱していましたね。これは縦割り文化から抜け出せない、官公庁に問題の一端があると考えられます」
業界や組織の境界があいまいになると同時に、サプライヤーとのつながりもまた縦から横方向へと変化している。これまで、自動車業界であれば大手メーカーを頂点に多数のサプライヤーが縦並びに組織化されているのが一般的であり、建設業界でも多数の下請け企業がゼネコンの傘下に入っていた。発注する側と受注する側が明確だったのだ。しかし今後は、業界を越えた多様なプレーヤーが連携する「共創型」が主流になる(図表1)。
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