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「前にも説明したよね」はなぜNG? ノーベル化学賞に学ぶ、社内コミュニケーションを育てるコツ

有限会社フロム・サーティ 代表取締役 池崎 晴美
最終更新日:
2026年10月28日
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総務の仕事は、本当に多岐にわたります。社内制度の整備、備品や施設の管理、各部署との調整、人事・採用、新入社員への対応、社員からの問い合わせ対応……。そこに日々の業務の締め切りが重なります。一つの仕事に集中していたら、別の部署から問い合わせが入り、「ちょっといいですか」と声を掛けられ、「あれもやらなければ。これも今日中に……」といった毎日を過ごしている方も多いと思います。
忙しいときほど、早く答えを出そうとします。「それなら、こうしてください」「このやり方で大丈夫です」「前にも説明しましたよね」――。仕事を進めるためには、もちろんこうした言葉は必要です。しかし、答えを返す前に、ほんの少し相手を見て、「なぜだろう」と考えてみると、それまで見えていなかったものが見えてくることがあります。

スピードを重視するあまり、見落としていたもの

以前、私の会社に所属していた入社2年目のKさん。とても真面目で穏やかな人でしたが、私は彼女の仕事について少し気になっていることがありました。依頼した仕事の提出までに時間がかかり、途中で疑問点を質問してくることもほとんどなかったのです。

私は仕事を比較的早く進めるタイプなので、自分の基準でKさんを見て、「仕事が遅い」と感じていました。ところがある日、Kさんが仕事をしているようすをじっくり見ていて、気付いたことがありました。

彼女は仕事が遅いのではなく、とても丁寧に仕事をしていたのです。しかし、一人で悩みながら、慎重に仕事を進めていました。そのことに気付いたときから、私は彼女への接し方を少しずつ変え、「これは、どれくらいでできそう?」「わからないことがあったら、早めに聞いてね」「今、困っていることはある?」などと聞くようにしました。

さらに、週に1度、2人で話す時間をつくるようにしました。特別な議題があるわけではありません。仕事でわからないこと、困っていること、気になっていることを話す時間です。すると、それまであまり自分から質問をしなかったKさんが、「実は、ここがわからなくて」「こういう場合は、どうしたらいいですか?」と少しずつ聞いてくるようになりました。そうしたやり取りを重ねるうちに、Kさんは自分から質問するようになり、私も安心して仕事を任せられるようになっていきました。

Kさんが突然、別人になったわけではありません。私がKさんを見る目が「仕事が遅い人」から、「一つひとつ丁寧に仕事をする人」と変わっただけです。見方が変わると、掛ける言葉が変わります。また、言葉が変わると、相手から返ってくる言葉も変わります。こうした小さな変化が、また次の変化につながっていきました。

見方が変わるとき、化学反応のように連鎖する

今年のノーベル化学賞受賞のニュースを聞いたとき、私はKさんとのやり取りを思い出しました。

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プロフィール

h-ikezaki

有限会社フロム・サーティ 代表取締役
池崎 晴美

フリーアナウンサーとして活動後、「言葉の力」とコーチングを融合した講演・研修を全国で実施。すぐに役立つ実践的な内容とわかりやすさに定評がある。自らも挑戦を続けながら、ウェルビーイングを実践。著書に『心をギュッとつかむ話し方入門』(かんき出版)など4冊。職場のコミュニケーション改善に貢献し、人材育成や組織活性化にもつなげている。

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