総務のための資格ガイド

勉強を続けられる人は「やる気」に頼らない 働きながらでも資格を取るためのヒント

月刊総務 編集部
最終更新日:
2024年04月23日
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前回「総務にオススメ! 「オフィス系、広報系、IT 系、法務系、コミュニケーション系」の資格まとめ」では業務に役立つさまざまな資格について解説しました。今回は、資格勉強の進め方についてです。「働きながら資格の勉強をするのは大変」「時間がない」「モチベーションが維持できない」――本当にそうでしょうか? 勉強できないその理由、実は単なるいい訳かもしれません。資格取得に不可欠な勉強を継続するためのヒントを紹介していきます。

取材・文◎武田 洋子

資格取得をベンチマークやマイルストーンに

資格アドバイザー 鈴木 秀明さん
資格アドバイザー
鈴木 秀明さん

総合情報サイト「All About」資格ガイド。東京大学理学部卒。東京大学公共政策大学院修了。米国公認会計士、気象予報士、中小企業診断士、行政書士、証券アナリストなど940個以上の資格を取得。年間80個以上のペースで資格試験を受け続け、資格の専門家として多方面で活動中。雑誌・テレビ・ラジオなどのメディア出演実績は500件以上。著書に『効率よく短期集中で覚えられる 7日間勉強法』(ダイヤモンド社)、『小学生にもとれる!資格・検定カタログ』(監修)(小学館)などがある。

「実務知識を身に付ける目的なら、資格まで取らなくても、本で勉強すればよいのでは」と考える人もいるでしょう。しかし多くの人は、それだけでは途中で飽きてしまってなかなか続かないのではないでしょうか。

ところがそこに、「資格を取る」という目標ができると、モチベーションはがぜん、上がります。漠然と「英語がうまくなりたい」と思うだけより、「6月のTOEICで◯◯点を取る!」というように目指すレベル感と期限を具体的に設定した方が、やる気が出ますし、やるべきことが明確化してくるはずです。

また、「実際に問題を解くこと」によって初めて、自分の理解度は明らかになります。

本の文字を追ったり、学習用の動画を見ているときはわかったつもりになっていたことも、問題を解く段階になると、「あれ?意外と解けない」となってしまう、そんな経験をみなさんもお持ちだと思います。読書や動画視聴のようなインプットだけでは、本当に理解できているかはわかりません。問題を解くというアウトプットを合わせることで、わかっていなかったところが洗い出され、ようやく頭に入るのです。

ですから資格は、目標設定に役立つベンチマークやマイルストーンとして活用すると、大変有効です。

参考書は一冊にこだわらず、試行錯誤しながら柔軟に活用

本屋などでお薦めされていた参考書で勉強を続け、「この本、自分には合ってないのかも……」と感じてしまうことがあるのであれば、それを無理に使い続けることは非効率です。参考書はせいぜい数千円程度で買えるものなので、もし使ってみて合わなかったらその時点でほかに乗り換えることも検討しましょう。「参考書Aの方が総合的には使いやすいけど、図表や用語などの説明は参考書Bの方がわかりやすい」のであれば、よくわからない箇所についてだけピンポイントで参考書Bを使うなど、両方の良いとこ取りをするのも一つの手です。

また、自分が求める知識やスキルが身に付く内容でさえあれば、検定公式教材や学参カテゴリの本だけに限らず、ビジネス書や文庫本などにも思い切って選択肢を広げてみるべきです。最近はさまざまなジャンルで「マンガで学べる◯◯」といった本が出されていて、普通の教科書などよりもよほど効果的に知識が身に付く本も多いです。使えそうなものは何でも活用していきましょう。

「忙しくて勉強できない」という人は時間がないのではなく気力がない

働きながら資格を取るのは大変という声をよく聞きます。でも「忙しくて勉強できない」という人は、いざ時間ができたら勉強するようになるかというと疑問です。そもそも「一分の勉強、一ページの読書をする時間すらも皆無」というレベルで忙しいという人はおそらくいないでしょう。実は問題なのは時間ではなくて、忙しすぎて勉強する気力がないことなのです。

とはいえ、やる気に頼るのもNGです。いちいち気分を高めないと勉強できないというのでは継続は難しいでしょう。やる気のあるなしにかかわらず、やるべきことをやる、それをルーティンにするマインドセットを心掛けてください。

勉強の習慣化に有効なのは、人を巻き込むことです。一人だと続かないときは、勉強仲間をつくりましょう。自分からいい出して引くに引けない状況を作ることは、自分の行動を勉強へと向けるための有効な仕掛けとなります。また、資格を取ることを周囲に宣言するのもいいですね。これも勉強せざるを得ない状況になります。

ただ、もし仕事が限界まで生活を圧迫していて本当に時間がないということなら、まずは仕事量を減らすことを考えるべきです。手作業を自動化する、不要な作業を見直す、AIを活用するなど、効率化をはかって残業を減らしましょう。時間はつくるものです。総務担当者は特に仕事の効率化を推進すべきポジションのはずですから、資格の勉強が業務改善を意識する良いきっかけになるのではないでしょうか。

過去問で出題傾向の対策を 暗記物なら一夜漬けも有効

資格試験の勉強を効率化する一番の近道は、過去問題をやることです。最初に出題傾向を分析し、重点的にやるべきところとそうでもないところを見極め、「選択と集中」を意識した勉強をすることで、勉強効率を大きく高めることができるでしょう。また、受験仲間がいるのなら、お互いに問題を出し合うのもお勧めです。どんな問題が出るかを自分なりに考えながら勉強すると、理解が深まります。

暗記作業の効率化を突き詰めるなら、一夜漬けも悪くありません。試験本番に近い時点に覚えた内容ほど、試験時刻まで記憶を保持できている可能性が高いからです。「何回やっても覚えられない!」という苦手な暗記項目がある場合は、開き直って試験直前に集中的に覚えることにするのも一つの手です。

ただ、忘れるのも早いので、真に身に付いたとはいえないのですが、それでも直前まであきらめない姿勢は大切です。「最後にこの項目を詰め込みたい!」という内容を事前に整理しておくと効果的です。

また、試験前日や当日の過ごし方についてですが、いつもと違う特別なことをしようとはせず、むしろいつも通りの生活リズムを崩さず心身を安定させる方がいいでしょう。ゲン担ぎにカツ丼を食べる、なんていう風習もありますが、普段食べ慣れていないと胃もたれを起こすかもしれません。本番に向けて「テンションを高める」というよりは「メンタルを整える」ことを意識しましょう。

資格取得で終えず次につなげていく

資格を実務に役立てるのならば、取得で完結するのではなく、そこから実践で応用していくことになります。知識や理論は試験勉強の過程で身に付いているので、実務と照らし合わせ、足りない箇所はさらに勉強して補完し、実務のブラッシュアップにつなげていきましょう。

また、冒頭でもお伝えした通り、実務に役立てる以外にも資格取得にはさまざまな効果があります。資格取得をきっかけに、活動の幅を広げ、あなたの人生をより充実させるアクセントとしていただければと思います。

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著者プロフィール

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月刊総務 編集部

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