職場の理解が大きな支えに パニック障害のある従業員も働きやすい環境づくりのポイント

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前回『パニック障害は「我慢」よりも「受診」を 早期回復につながるセルフケアと発作への対応方法』では、パニック障害の対処法と治療法について紹介しました。今回は職場での配慮のポイントを解説していきます。
職場に公表すべきか
パニック障害を抱えていることを職場に公表すべきかどうかは、多くの方が悩むポイントの一つです。
法的には、労働者には「自己保健義務」が課されており、自身の健康状態を自己管理する努力が求められています。たとえば、業務に支障が出るほどの発作がある場合や、通勤が困難になった場合は、受診し治療をする必要があります。また、業務の遂行に影響を及ぼす可能性があるため、報告が必要となります。
一方で、業務に支障がない軽度な場合や、すでに治療を開始しており安定している場合は、必ずしも公表の義務はありません。
ただし、職場の理解と協力があることで症状の悪化を防げることも多く、適切なタイミングで信頼できる上司や人事担当者に相談し、必要最小限の範囲で共有することが推奨されます。
公表により職場内での偏見や誤解を受けるのではと不安に感じる方も少なくありませんが、現在では精神疾患に対する社会的理解も進みつつあり、職場のメンタルヘルス対応力も向上しています。職場内に産業医やカウンセラーなど相談できる専門家がいる場合は、まずはそういった専門職に相談するのも一つの方法です。
さらに、公表の方法についても工夫が必要です。一方的な申告ではなく、医師の診断書や職場復帰支援計画書を添えて共有することで、より理解が得られやすくなります。
また、症状や希望する配慮内容を具体的に伝えることで、誤解や不安を軽減することができます。精神疾患に関する情報はセンシティブであるため、守秘義務の下で取り扱われるべきですが、職場によっては対応の差があるため、信頼できる相談先を見極めることも重要です。
公表の判断に迷ったときは、主治医やカウンセラーに相談し、第三者の視点からのアドバイスを得ることも有効です。働きながら治療を続けるには、無理をしないこと、そして自分にとって何が必要なのかを冷静に整理することが第一歩です。状況によっては、時短勤務など勤務形態を変更する選択肢を取ることで、安定した就労を実現できることもあります。
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