パニック障害の正しい理解と向き合い方
「死んでしまうかも」強い発作で出社も困難に……誰もが突然、起こり得る「パニック障害」とは
渋谷365メンタルクリニック 心療内科医 和田 悠起子
最終更新日:
2025年09月01日

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心の病気の一つであるパニック障害は、決して珍しいものではなく、誰にでも起こり得るものです。しかし、見た目からはわかりにくく、「甘え」「気のせい」と誤解されることも少なくありません。
本連載では、パニック障害の基礎知識から、本人・周囲・職場の具体的な対処法や配慮のポイントまでを解説していきます。
パニック障害とは
パニック障害とは、「突然理由もなく、強い不安や恐怖感に襲われる発作(パニック発作)を繰り返す」精神疾患の一つです。この「発作が続くこと」や、甲状腺機能の亢進により頻脈になるといった「内科的疾患がないこと」がパニック障害と定義付ける上で重要になります。
また、あがり症や不安障害のように「人前で話すと緊張する」「高いところが怖い」など、状況に応じた反応とは異なり、パニック発作は予測不能です。明確なきっかけが存在しないことが多く、本人が「なぜ起こったのかわからない」と戸惑うほどです。
特徴的なのは、発作が非常に強烈であること。「死んでしまうかもしれない」と思うほど強い恐怖感に襲われます。発作が続くことで「また起きたらどうしよう」という強い不安、いわゆる「予期不安」が生まれます。この不安が生活範囲を狭め、電車に乗れない、職場に行けない、といった「回避行動」につながります。
その結果、パニック発作が起きたときに逃げられない状況を恐れてしまう「広場恐怖症」を併発するケースも多くあります。
発作自体は短時間で治まるため、症状そのものよりも、「発作がまた起こってしまうのではないかという不安」に支配され、日常生活や社会生活に大きな影響を与えてしまいます。
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