第18回:関税の減免・戻し税制度

堀 龍市税理士事務所 所長 堀 龍市
最終更新日:
2015年09月25日

関税には、一定の要件に該当する時、関税の全部が免除される「免税」、一部が免除される「減税」、また、納付後に一定の要件のもと関税の全部又は一部を払い戻す「戻し税」という制度があります。

主な目的には、国内産業の育成・保護、貿易又は学術の振興、社会・厚生・政策上の要請、国産品又は課税済み貨物に係る二重課税の排除などがありますが、これらの制度がどういったものなのか、いくつか例を見てみましょう。

1.再輸入免税(関税定率法第14条第10号)

日本から外国への輸出許可の際の性質及び形状がかわらないもの、つまり、付加価値をつけていないものを輸入した場合、その貨物は無条件に免税されるというものです。

2.加工又は修繕のため輸出された貨物の減税(関税定率法第11条)

1番と違い付加価値が付加されて日本に戻ってくる場合の減税になります。

例えば、20万円の原材料を外国に輸出し、そこで加工され製造された50万円の製品を日本に輸入する場合などが該当し、50万円の製品に係る関税から、日本から輸出した原材料である20万円に相当する関税部分が減税されることになります。

ただし、減税を受けるためには、「加工・修繕」された貨物が原料などの輸出許可の日から原則として1年以内に輸入されなければならず、また、加工のものについては、日本において加工困難なものに限られることに注意が必要です。

3.再輸出免税(関税定率法第17条)

外国から輸入し原則1年以内に外国に再輸出することを条件に、輸入時の関税を免除するというものです。再輸入免税と違い、再輸出免税が適用される貨物については関税定率法で限定されていることに注意が必要です。(再輸入免税では、貨物は限定されていませんでした。)

ちなみに、再輸出免税が適用される貨物とは次の通りです。

  • 加工される貨物又は加工材料となる貨物で政令で定めるもの
  • 輸入貨物の容器で政令で定めるもの
  • 輸出貨物の容器として使用される貨物で政令で定めるもの
  • 修繕される貨物
  • 学術研究用品
  • 試験品
  • 貨物を輸出し、又は輸入する者が当該輸出又は輸入に係る貨物の性能を試験し、又は当該貨物の品質を検査するため使用する物品
  • 注文の取集め若しくは製作のための見本又はこれに代る用途のみを有する写真、フイルム、模型その他これらに類するもの
  • 国際的な運動競技会、国際会議その他これらに類するものにおいて使用される物品
  • 本邦に入国する巡回興行者の興行用物品並びに本邦に入国する映画製作者の映画撮影用の機械及び器具
  • 博覧会、展覧会、共進会、品評会その他これらに類するものに出品するための物品
  • 本邦に住所を移転するため以外の目的で本邦に入国する者がその個人的な使用に供するためその入国の際に携帯して輸入し、又は政令で定めるところにより別送して輸入する自動車、船舶、航空機その他政令で指定する物品
  • 条約の規定により輸入の後一定の期間内に輸出されることを条件として関税を免除することとされている貨物で政令で定めるもの

4.輸入時と同一状態で再輸出される場合の戻し税(関税定率法第19条の3)

外国から商品を委託販売契約によって輸入する際など、日本で輸入された委託品を販売し、売れ残ったものを再輸出した場合に、輸入時に納付した関税を払い戻してくれるというものです。

この払い戻しには要件があり、まず、輸入時の性質及び形状の変わっていない関税納付済み貨物を本邦から輸出することと、輸入許可の日から原則として1年以内に輸出されることです。

そのため、輸入時には再輸出貨物確認申請書を堤出して貨物の確認を受けておかなければなりません。 また、商品を廃棄したり、輸入後の変質・損傷によって輸入時との同一性が認められない場合には戻し税の対象にはならないので注意が必要です。

5.違約品等の再輸出又は廃棄の場合の戻し税(関税定率法第20条)

輸入した商品の品質・数量等が契約内容と違う貨物、通信販売等で購入した商品の品質等が輸入者の予期しない貨物、輸入後、法令等により販売・使用等が禁止に至った貨物を返品又は廃棄する場合に関税を払い戻してくれるというものです。(廃棄の場合には、税関長の許可が必要となります。)

払い戻しを受けるための要件としては、これらの貨物の輸入時の性質及び形状に変更を加えないものを輸出することと、原則として6ヶ月以内に貨物を保税地域に搬入する必要があります。


約1年半にわたって印紙税・関税を連載をさせて頂きましたが、今回で連載が最終回となります。 このようなチャンスを下さいました、編集長の豊田健一様には心より御礼申し上げます。

1年間ご拝読ありがとうございました。

堀 龍市

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著者プロフィール

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堀 龍市税理士事務所 所長
堀 龍市

経歴
大阪市出身、大阪府立大学経済学部経済学科卒。大学卒業後、父親が経営する会社に就職。父の会社で最も身近な存在であり、相談できる相手である顧問税理士が「税金の計算をするだけの人」と知って愕然とし、父の会社の解散に伴って、必死で会社を支えている社長を経営面からサポートする税理士を目指す。
その後、ランチェスター経営の竹田陽一氏に師事。
現在は「中小企業の社長と従業員とその家族が幸せになれば、世の中が幸せになる」を合言葉にクライアントの売上向上と税金対策に携わっている。

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