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知らないと危険!著作権・肖像権(その13)

2013年07月16日

■引用の方法について知っていますか?

 出版物やブログの文章のことで「引用の方法」について質問されることがよくあります。

 引用とは、紹介、参照、論評などの目的で他人の著作物を自分の著作物の一部に組み入れて利用することです。たとえ他人の著作権が存在する著作物であっても、公正な慣行に合致し、報道、批評、研究その他の引用の目的上正当な範囲内で行うことができます。

 
著作権法第32条
公表された著作物は、引用して利用することができる。この場合において、その引用は、公正な慣行に合致するものであり、かつ、報道、批評、研究その他の引用の目的上正当な範囲内で行なわれるものでなければならない。
   
国若しくは地方公共団体の機関、独立行政法人又は地方独立行政法人が一般に周知させることを目的として作成し、その著作の名義の下に公表する広報資料、調査統計資料、報告書その他これらに類する著作物は、説明の材料として新聞紙、雑誌その他の刊行物に転載することができる。ただし、これを禁止する旨の表示がある場合は、この限りでない。


 この条文を見ると、あいまいな表現がちりばめられているので、これについて様々なな解釈がありえてトラブルに発展しやすいので、慎重に判断する必要があります。

 主に出版物等で引用する際に注意すべきとされているポイントとして以下の点を挙げます。 引用するにあたり、これらの条件全てを満たしている必要があります。

(1)公表されている著作物であること
(2)公正な慣行に合致すること
(3)報道、批評、研究その他の引用の目的上正当な範囲内であること
(4)他人の著作物を引用する必然性があること。
(5)かぎ括弧をつけるなど,自分の著作物と引用部分とが区別されていること。
(6)自分の著作物と引用する著作物との主従関係が明確であること(自分の著作物が主体)。
(7)出所の明示がなされていること。

 これを厳しく守ろうとすると、引用できる範囲はかなり限定されています。
原則として複製は禁止なのだという考えが前提にあり、「しかし、やむをえない場合は仕方が無い」という発想なのです。
「やむをえない」とはどういう意味かというと、民主主義における言論の自由を思い浮かべるのがわかりやすいかもしれません。

たとえば、ある政治家の発言についての批判を雑誌に掲載した場合に、「その発言は私の著作物なのに無断で使用された」という理由で告訴されたらどうでしょう。

これでは民主主義のために必要な報道や言論が不当に制限されてしまうこととなりえます。

よって、一定の範囲で引用を認める必要があるわけですが、この「一定の範囲」というものを都合よく利用されてしまうと「複製権」という権利を作った意味が失われかねません。
著作権者の利益を保護することと、社会にとっての引用の必要性を天秤にかけて判断してくださいよ。 そういうことを著作権法は言いたいのだろうと思います。

私はかつて、法律というものは杓子定規で冷たいものだと思っていましたが、著作権法には、わざとあいまいに作っている部分がたくさんあって、それを「わかりにくい」と苦々しく思う人もいますけれど、私は血の通った判断がしやすいということ気が付いて著作権法の分野が好きになりました。

著作物は誰でも作ることができるし、毎日著作物を利用して私達は生活しています。
つまり著作権法は私達全員のためにある法律なのですから、私達が私達のために考えて運用してゆけばよいのだと思います。

決して、行政や裁判所の判断だけに依存するものでありませんし、実際に自主的な判断が無ければ著作物の日々の利用はできないのだと思います。
日野 孝次朗
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