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知らないと危険!著作権・肖像権(その15)

2013年09月05日

■フェアユースについて知っていますか?

 写真にたまたま美術品などが写りこんでいた場合に、権利を制限すべきだという案が文化庁から出てきそうです。

 これについて報道では「日本版フェアユース」という言葉を使っていました。

 「フェアユース」というのは、もともとはアメリカの著作権法に存在している権利制限の手法を意味していますが、権利制限の規制を具体的にではなく抽象的な判断基準で示すにとどめて、個々の実情に対応した公平かつ柔軟な結論を導き出そうとする手法です。
日本の著作権法は、どちらかと言うと細かく具体的な権理制限になっていますが、具体的にすればするほど新しい現象に対応しにくくなってしまいますから、法文を現実に当てはめるとおかしなことになってしまう場合がよくあります。

 著作権法のように、めまぐるしく変化する社会に対応しなければならない分野の法律では、どうしてもあいまいな規定にしておくべき場面が多くなりますが、日本の法制度は基本的に「具体的に定める」という思想が基盤にあって、著作権法もそういった経緯の中で作られて来ましたから、フェアユースのような大まかな規制にはなっていません。

 今後の改正についても、これまでと同じように、既存の権利制限を増やしたり手直しする程度の法改正であるのなら、「日本版フェアユース」というのは大げさ、または勘違いではないかと思います。

 日本人の気質としては、おおまかな判断基準をもとに議論し合うよりは、専門家が具体的に定めたことにだまって従う方が性に合うのかもしれません。

 しかし、司法全般の趨勢(すうせい)は明らかに「フェアユース」的な方向へ向かって流れており、近い将来、著作権法の権利制限規定が根本的に見直される日が来るのかもしれません。

日野 孝次朗
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