コラム

人事 / 人材育成 / ビジネスマナー

大人のためのホスピタリティマナー講座
第5回:残心

2015年09月15日

先日、出張でANAに乗ったときの機内ビデオで、「残心」というテーマの映像が流れていました。
興味を持って見てみると、残心とは日本の武道や芸道において用いられる言葉で「残身」「残芯」とも書かれ、文字通り、心が途切れないように意識し、技を終えたあとも注意を払うようすだそうです。
いい換えれば、気を抜かず、美しい所作の継続でもあると聞き、とてもすてきな言葉だと感じました。


私の息子は空手をするのですが、師範も「残心」というそうです。型の終わりに周囲を見渡し、何事もないことを見届け、礼をして終える。まさに、その行為が残心なのですね。

茶道に由来があるおもてなしだけでなく、空手道もまた、すべての行動に意味があることを実感しました。

残心。普段私たちは、どれだけ心を残しているでしょうか。
周囲に対する敬意や思いやりの気持ちを、どれだけ意識しているでしょうか。

05_zu1.jpg飛ぶ鳥跡を濁さずということわざにもあるように、自分の立ち去ったあとのことを意識することも、とても大切です。
マナーの研修では、「離席時は、机の上を片付けて、椅子はきちんと中に入れて」と促していますが、仕事中の自分の行動を振り返り、ほかに何ができるでしょうか。いろいろ配慮することが挙げられます。


また、お客さまに対して心を丁寧に残す行為といえば、「お見送り」があります。
私が担当させていただいている輸入車ディーラーのCS研修では、「お客さまのお見送りは最後まで心を込めて」を徹底しています。
お客さまの車が見えなくなるまで心を寄せて、見えなくなったあとも最後に再度一礼し、感謝の気持ちをお届けする。これもまさに「残心」といえるでしょう。


心を残すことを、私自身も忘れがちになるときがあります。
そういうときこそ意識しているのが、「忙しい」といわないことです。
心を亡くすと書いて「忙」であり、「私は周囲に対して心がありません」と宣言していることなので、忙しいことを理由にしないようにしています。

そしてこれからはさらに、「残心」という言葉も、忙しいときにつぶやくことにします。
みなさんもぜひ試してみてください。


(初出:『月刊総務』2014年8月号)

橋本 絵里子
​​MENU