コラム

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「環境づくりから一歩踏み込むリアルなコミュニケーションの場づくり」
第9回:管轄業務の範囲内でも場づくりは実現できる

2017年01月30日

 本コラムでは、これまで、経営に寄与する戦略総務となるために、経営者の関心事である「利益創出」と「人材」を意識したリアルなコミュニケーションの場づくりの方法をご紹介してきました。

 経営―現場をつなぐ場づくりについては、単に経営者が経営方針を全体集会で一方的に説明するだけでは「コミュニケーションの場づくり」とはいえず、経営者が利益創出のヒントを得られたり、人材育成につながったりする場をつくることの重要性をご案内しました。

 「現場―現場」をつなぐ場づくりについては、対立しやすい「営業×開発」を題材として、この対立構図で情報流通がうまくいかずに倒産した企業事例も参照しながら、総務が部門間のつなぎ役になることの必要性を認識いただきました。その上で、どのようにして営業×開発のコミュニケーション機会をつくり出すのか、そのセッションの企画の仕方をひも解きました。

 ここまでのお話は、何らかのセッションを設けることを前提にしています。社内説得の方法もご案内をしてきましたが、「とにかく新しいやることは大変なんです」という企業もあるでしょう。ここまで読んでいただいているのですから、何とかして直接コミュニケーションの場づくりをしてみたいという強いご関心を持っていただいているものと思います。最終手段をご紹介しましょう。

 本コラムで何度か、目的を達成できる手段は多様にあるとご紹介しました。本コラムの枠組みでは、経営と現場、現場と現場が有益な情報を交換し合うことが実現できれば良いといえます。さて、何らかのセッションを設けずに、どうやって直接コミュニケーションの形態を実現できるでしょうか。


■ 新しい取り組みの代わりに

 総務の分掌業務で「社内報」を管轄している企業も多いのではないでしょうか。新しい取り組みをするのではなく、管轄業務である「社内報」の企画で、こうした場をつくってしまえば良いのです。経営者と現場社員が対談する企画を毎号設ける、現場の社員同士が何らかのテーマで対話し合う企画を毎号設ける。社内報の企画として通常業務に組み込んで実施してしまえば良いのです。

 さらに欲張るのであれば、こうした社内報を、職場で意見交換をしてもらうマネジメントツール、コミュニケーションツールにできるとすばらしいです。経営者と現場が対談する企画の記事内容をヒントに、自分たちの職場に置き換えると何ができるのか、現場の社員同士が何らかのテーマで対話し合う企画を基に、同じテーマで自分たちの職場で対話をする。社内報の企画をリアルな場づくりとすることもできますし、その企画を職場で使っていただくこともできるのです。

 総務業務を戦略的に価値あるものにしていくためには、管轄業務の範囲を解釈で拡げていくことが必要です。社内報の発行という業務に代わりはないですが、社内報そのものを「交流を生み出すための情報提供媒体」ではなく、「直接的に交流を生み出す媒体」としてしまう。社内報は届けて終わりではなく、使ってもらうことも意図して制作していけると、企画の広がりが生まれていきます。守備範囲が広い総務だからこそ、こうした解釈の余地はたくさんあるはずです。

■ 総務ができることとは?

 オペレーション業務は非常に重要です。それらに加えて、
「オフィスレイアウトの変更などコミュニケーションが発生しやすい環境づくりまでです」
「社内報を通じて、交流を生み出すための材料をご提供しています」

 もちろん、そこまでの成果創出もとてつもない労力を必要としますし、すばらしい成果ですが、総務が自らの仕事の範囲をある一定のところで区切っていけばいくほど、総務から人事・経理・広報・監査など専門業務が分離していったように、別の部門に仕事を取られてしまいます。まして、怖いのはAIによるオペレーション業務の全自動化。機械に仕事をとられてしまう恐れも出てきています。

 本コラムの第2回で、会社の設立前から総務業務は存在し、会社の生みの親ともいえる総務は、唯一、本当に会社全体を俯瞰(ふかん)しできるはずの部署だとお伝えしました。機械ではなく人間でなければできないことは何なのでしょうか。経営に寄与するために総務はもっと何をできるのでしょうか。部門間のつながりを強化していくこと、総務だからこそできることを、楽しみながらもっともっと探し出していきましょう。

秋山 和久
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