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地域活性化に活用できる知的財産〜地理的表示〜第11回

2017年07月14日

 こんにちは。ブランシェ国際知的財産事務所の弁理士 鈴木徳子です。
 今回は、前回に引き続き地理的表示(GI)と地域団体商標の相違について説明しようと思いますが、その前に、GIに関する新しい動きがありましたのでお知らせいたします。

 2017年7月9日付の報道によると、日本と欧州連合(EU)は経済連携協定(EPA)交渉で、伝統的な食品産地のブランドを互いに保護することで合意しました。これにより日欧がそれぞれ設けている地理的表示(GI)が相互に保護されることになります。今後日本のGI産品の輸出拡大にも期待できそうです。相互保護に向けて欧州のGIの一部が農水省のサイトで公示されていますので、ご興味のある方はご覧ください(参考URL: http://www.maff.go.jp/j/shokusan/gi_act/designation/index.html)。

 さて、本題に入りますが、今回も、相違について特許庁がまとめた下記の表に基づいて説明します(前回は「主な登録要件」の違いまで説明しました)。

chiri.png


■GIと地域団体商標の相違

(1)使用方法gimark.jpg
 地理的表示(GI)は登録後、下記のGIマークとセットで登録産品に表示することが法律で義務付けられています。GIマークを省略することはできません。

 一方、ある農産品についてGI登録された場合、その加工品に対する表示の取り扱いは少々異なります。たとえば、「○○りんご」がGI登録された場合、加工品であるジュースに「○○りんごジュース」のように、GIを表示することは可能ですが、併せてGIマークを付すことはできません。

 地域団体商標については、GIと異なり、登録商標である旨を表示することは義務付けられていません。しかし、実際には、地域団体商標の権利者である組合のホームページ上で商標の登録番号を明記したり、商標の右上に(R)マーク(Registered Trademarkの意味)を付したりして、登録商標であることをアピールするケースが多いです。

(2)品質管理
 GI保護制度は、地域産品の品質について国がお墨付きを与えることをその特徴とします。GI登録後、生産団体は申請時に提出した生産工程管理業務規程に基づき品質管理を主体的に行い、国(農林水産大臣)がその品質管理体制を定期的にチェックします。このようにして産品の品質が担保されるのです。登録されたらそれで終わりというわけではなく継続的に品質維持・向上に努めていくことが求められます。

 一方、地域団体商標の場合は、商品・サービスの品質管理は、商標権者等の自主管理に委ねられます。地域団体商標に限らず商標全般にいえることですが、商標が登録されると安心してしまい、それで"終了"と考えている権利者が実に多いのです。実際には、登録後の品質管理、ブランド管理の方が、権利取得よりもはるかに重要であるにもかかわらずです。

 地域団体商標についても、商標は登録されたものの、品質管理を徹底せずに粗悪な商品・サービスを提供していたのでは、商品・サービスの信用、ひいては地域の信用を失うことになりかねません。

 GIのように制度上の定めがないとしても、組合内で品質基準に関するガイドラインを作成し、基準を外れたものは排除していく仕組みを作るなど、品質を担保する努力が必要なのではないでしょうか。

 次回も引き続きGIと地域団体商標の相違について説明します。

鈴木 徳子
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