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地域活性化に活用できる知的財産〜地理的表示〜第12回

2017年09月01日

 こんにちは。ブランシェ国際知的財産事務所の弁理士 鈴木徳子です。

 先日、和歌山県の「紀州金山寺味噌」が地理的表示登録されました。地理的表示保護制度導入から約2年経過した現時点(2017年8月25日)で、登録産品の数は合計39となりました。

 産地別では、47都道府県のうち27道府県の産品が登録されました。農水省は2020年のオリンピック・パラリンピック開催までに、各都道府県の農産品を最低一つは地理的表示登録することを目標としているようですが、このペースでいけば達成できるかもしれません。

 さて、今回は、GI(制度)と地域団体商標の相違について、誰が登録された標章(マーク)を使用できるのかに焦点を当てて説明します。

■GI(制度)の場合
gimark.jpgのサムネイル画像
 登録産品にGI(たとえば、「夕張メロン」という"名称")およびGIマーク(画像右)を使用することができるのは、登録を受けた産品の生産者です。しかし、集荷・輸送などにかかわる流通業者や小売業者が、箱・送り状・値札等にGIおよびGIマークを付すことも認められています。

 流通の川上から川下まで、登録産品に関する限り、GIおよびGIマークを使用することが認められているのです。

 さらに、登録産品が主たる原材料として使用された"加工品"についても、GIの使用が認められます。

 たとえば、「夕張メロン」が主たる原材料として使われたメロンジュースについては、「夕張メロンジュース」と表示することが可能です。

 ただし、GIマークについては、あくまでも登録産品だけ(この場合は、夕張メロン)に使用が認められるものなので、加工品であるジュースについては、表示することができません。

 ところで、これまでインターネット販売業者や飲食業者等の間で、GIやGIマークをプロモーションツールとして活用したいけれども、その使用ルールが明確でなく販売展開が不安であるという声が上がっていました。

 これに対応すべく農水省は「広告、インターネット販売、外食業等におけるGIマークの使用に関するガイドライン」(2017年7月19日版)を公表しました。

 このガイドラインによると、インターネット通販業者等であっても農水省からGIマークの使用許諾を受ければ、一定要件下でGIマークをPR等のために使用することができます。ただし、GIマークは原則としてGIとセットで表示することが必要です。

 詳細は次のサイトをご参照ください(参考URL:http://www.maff.go.jp/j/press/shokusan/chizai/attach/pdf/170719-1.pdf)。

 なお、GI登録の前から、GIの名称と同じものを使用している先使用者である第三者は、GI登録後も引き続きその名称を使用することが認められます。

■地域団体商標の場合

 地域団体商標の場合は、権利者である団体(組合等)およびその構成員が、指定した商品・サービスについて地域団体商標を独占排他的に使用することができます。

 また、地域団体商標の使用について許諾を受けた自治体等も使用することが可能です。

 なお、GI制度については、「地域の共有財産」という趣旨から、GIの使用許諾(ライセンス)をすることはできません。

 また、地域団体商標では、たとえば、「〇〇トマト」(〇〇は地域名)という商標は、指定商品が「〇〇産のトマト」という形で登録されます。

 したがって、トマトの加工品の「トマトジュース」までは権利範囲に含まれておりませんが、GIマークのように、登録産品を使用した加工品について使用することが認められていないわけではありません。

 なお、地域団体商標を出願する前から商標を不正な目的ではなく使用していた第三者は、引き続き商標を使用することができます。この場合、権利者側は、第三者に対して「この商品は〇〇組合とは関係のない商品です」のような混同防止表示を商品に付すよう請求することもできます。

 次回に続く。

鈴木 徳子
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