スマホに追跡アプリ、KPIに完璧さを追求など 半数が「会社の管理はやり過ぎ」民間調査
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リクルートマネジメントソリューションズ(東京都港区)は5月28日、会社員の5、6割が会社の管理が過剰だと感じているとした調査結果を公表した。同社では、従業員が管理をどう受け止めるかに意識を向けることを提言している。
「これがなければもっと高い成果が出せるのにと思うルールや手続きがある」6割が賛同
25~54歳の経営者・役員を除く正社員930人に対して実施。「会社や上司からの管理を過剰だと感じている(以下、管理過剰感)割合」や「管理過剰感が高くなる状況」、「管理過剰感が与える影響」など、調査結果から見える実態をまとめた。
会社と上司、それぞれからの管理について、8つの考えに対し「そう思う」~「まったくそう思わない」の6段階で聴取。「会社には、これがなければ、もっと高い成果が出せるのにと思うルールや手続きがある」では、管理過剰感がある(「とてもそう思う」「そう思う」「ややそう思う」の合計)が60.0%と最も高くなった。また、「これがなければ、もっと高い成果が出せるのにと思うような、上司からの管理がある」については管理過剰感があると回答した割合が39.1%と、若干低い傾向を見せた。
会社からの管理が過剰と感じるエピソード(自由回答)では、以下のような記載が確認できた。
ノルマや行動管理、監視
- 訪問件数、活動内容の報告を毎日義務付けられている(営業、50歳代、一般職、大規模)
- 事細かに業務ごとの稼働時間入力が必要(専門・技術、40歳代、管理職、小規模)
- 貸与しているスマートフォンの追跡機能を頻繁に確認し、移動先の理由を問われる(営業、40歳代、管理職、中規模)
規制・手続きが多い
- 管理のための細々としたチェック項目が多く、前向きな仕事になかなか着手できない(営業、40歳代、管理職、中規模)
- 細かく手順が決められていたり、チェック項目が多過ぎたりする(生産・技能、40歳代、一般、小規模)
決裁・根回しの煩雑さ
- 決裁取得、複数部門の責任者に説明して回らないといけない(専門・技術、50歳代、管理職、中規模)
- 書類の数、ハンコ、話を通すべき部署・人が多すぎて、話が先に進まない(事務、50歳代、管理職、大規模)
- 何かにトライする場合はメリットよりデメリット潰しを担当者にさせて、機会損失とやる気を失わせる(専門・技術、50歳代、一般、大規模)
数値管理への偏り
- すべてのKPIに関して完璧を求める(営業、50歳代、管理職、大規模)
- KPI主義で縛りすぎる(接客・サービス、50歳代、管理職、大規模)
「適切な管理」と社員が受け入れられるにはコミュニケーションが必要
会社による管理を示す項目ごとの評価を比較したところ、適切な管理として受け入れられるポイントは以下のように整理された。
- ルール:背景説明や社員の意見を聞くコミュニケーションが取れるか
- ルールについて従業員が意見を述べることができる、ルールを設けた背景や意図について説明がある場合には、会社の管理過剰感は低下する。
- 企業文化・規範意識:チャレンジの推奨や現場への権限委譲、健康や安全への意識
- チャレンジの推奨と失敗の許容、意思決定が速いこと、社内外の情報が開示されている状態では、会社の管理過剰感は低下する。また、従業員や関係者の健康や安全を重視することや、従業員の成長機会が多いこともプラスに働く。
管理過剰感が高い(「あてはまる」「どちらかといえばあてはまる」)群と、低い群(「あてはまらない」「どちらかといえばあてはまらない」)の差が大きく見られた項目は以下の通り。
情報開示があっても、ルールが形骸化すると会社管理過剰感は高くなる
さらに、会社のルールに関する項目を比較したところ、ルールが形骸化している場合(下図のC、D)では、情報開示の程度にかかわらず会社管理過剰感が高くなることが明らかになった。
同社では、ルールの意図や必要性を継続的に従業員とコミュニケーションすることと、従業員がルールの必要な改変を行っていける可能性を感じられることで、会社の管理過剰感が低下すると分析する。
このほか同調査では、会社や上司からの管理が過剰だと感じることで、社員自身の適応感や主体性の低下、疲弊感や離職意向が上昇する可能性があることが明らかになった。
同調査の詳細はこちらで確認できる。
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