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2021年10月、株式会社サイバーエージェントは「新しい力とインターネットで日本の閉塞感を打破する」を、同社が目指すべきパーパスとして発表した。創立から24年目のタイミングでパーパスを策定した背景は何だったのか。同社ならではのユニークなパーパス共鳴プロセスと併せて紹介する。
取材・文◎武田 洋子
経営陣で徹底議論 腹落ちするパーパスに
株式会社サイバーエージェントが新たにパーパスを策定することになったのは、「企業の成長過程において今がしかるべきタイミングだったから」という側面が大きい。策定に携わった執行役員の武田丈宏さんは、10年前とは明らかに変化していた状況を振り返る。
「インターネット広告事業から始まった当社も規模が大きくなり、メディアやゲームなど事業が多角化し、社員数も増えました。当然ながら、多様な価値観が生まれてきたのです。創業間もない頃は『インターネットという新しい領域で成功するぞ、会社を大きくするぞ!』というベンチャースピリッツで一丸となれました。ステークホルダーがみんな、会社を大きくすることで幸せになれていたのです。しかしもはや、社会から求められていることが変化しています。われわれの事業は社会に対しどんな意味があるのか、あらためて見直してパーパスを明確にする時期にきていました」
またさまざまな社会変化を背景に、若い世代の人たちの価値観も大きく変わってきていると武田さんは話す。武田さんは、採用活動を通して学生たちと接する機会が多い。昨今の若者が、社会に対する企業の存在意義を問い、重視する傾向には早くから気付いていた。社員を含め、現在のステークホルダーが共鳴できるような指標が必要だった。
土壌が整った2021年3月、代表取締役の藤田晋さんが主導し、パーパスの知見が豊かな社外取締役も参画しての議論が始まった。いつまで、と期限を区切るのではなく、腹落ちするいい言葉が出てくるまで議論は続いた。
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