ナレッジを共有し合う風土への改革を阻む、「上司の方が優秀で正解を持っている」というパラダイム

1ヶ月のアクセスランキング
現代企業に適したナレッジマネジメントの導入法を3回にわたってお伝えする本シリーズ。第2回は、ナレッジを共有し合う風土への改革の進め方について詳しく説明します。
学び合うチームづくりが新たな勝ちパターンの共創につながる
ナレッジを共有し合う風土への改革とは、いい換えれば、「自律・共創型のチームづくり」を推進することです。前回お伝えした通り、このテーマにおけるキーパーソンはミドルマネジメントです。特に管理・統率型の風土の企業では、ミドルマネジメントの意識改革が必要になりますが、実際にそれを実行するのは簡単なことではありません。一つの突破口になるのが「会議」の在り方です。課単位の会議を改革して、個々が自律的に創意工夫し、アイデアや学びを共有し合う「ナレッジ共有会議」の運営を通じて、自律・共創型のチームをつくるのです。そのプロセスを通じて、結果的にマネジメント層の意識やメンバーとの関係性に変化が生まれるケースも少なくありません。
一例を挙げると、リクルートの「ホットペッパービューティー」の取り組みがあります。美容室などの集客広告事業において、サロン向けの予約管理システム「サロンボード」というサービスを開発し、全国のサロンへの導入を最重点戦略に掲げた時期がありました。ネット予約が可能になれば24時間、365日予約が可能となります。今となっては美容室もネット予約が当たり前の時代になりましたが、導入当初は電話予約&紙台帳管理が主流であり、無料で提供してもサロンの方々になかなか使っていただけない状況でした。それまで高い業績を上げてきたマネジャーたちも、どうすればお客さまに新しいシステムを使ってもらえるのかに頭を抱えていました。答えはお客さまの中にしかありません。一部の使い始めてくれたお客さまはなぜ使ってくれたのか、どのように利用されているのか、まだ使ってくれていないお客さまがなぜまだ利用していないのか――。お客さまと向き合って真因を把握し、使っていただけるための創意工夫を実践し、個々の成功事例をチームや課で共有し、さらにその成功事例を部や事業全体で共有し、価値提供の在り方を組織ぐるみで磨き続けることで、多くのお客さまに使っていただけるサービスになりました。
※掲載されている情報は記事公開時点のものです。最新の情報と異なる場合があります。