中小企業のための知的財産制度活用ガイド

知的財産制度の概要(2) 意匠

ブランシェ国際知的財産事務所  弁理士 高松 孝行
ブランシェ国際知的財産事務所  弁理士 鈴木 徳子
最終更新日:
2022年07月06日

特許取得は、自社の技術力の高さを証明するだけではなく、資金調達や出口戦略において有利になるものです。しかし、中小企業やスタートアップ企業の多くが、知的財産戦略推進の優先度が低く、知的財産制度をうまく活用できていないのではないでしょうか。ここでは、意匠の概要とともに、出願の流れ、登録要件、存続期間と効力などについて見ていきます。

「知的財産制度の概要(1)特許」はこちら

「知的財産制度の概要(3)商標」はこちら

「商品のパッケージや包装容器のデザインを変更したら、売り上げが増加した」という話をよく聞きます。SNSで商品パッケージのデザインが話題になった結果、商品の売り上げが増加したという実例もあり、デザインが商品の売れ行きに与える影響は決して侮れません。量産可能なもののデザインは意匠法により保護されます。意匠法は、新しく創作されたデザインの保護と利用をはかり、究極的には産業の発達に寄与することを目的としています。

意匠法で保護される「意匠」は、「物品の形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合であって、視覚を通じて美感を起こさせるもの」であり、物品の「部分」のデザインも「意匠」に含まれます。また、2020年4月から、物品に記録・表示されていない画像、建築物や内装のデザインについても、新たに保護対象になりました。

菓子のパッケージ、スマートフォンの操作画面、乗用自動車、マスク、イヤホン等、多岐にわたるデザインが意匠登録されています。

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著者プロフィール

ブランシェ国際知的財産事務所  弁理士
高松 孝行

ブランシェ国際知的財産事務 共同代表弁理士。茨城県出身。東京工業大学大学院での研究経験を生かして、弁理士となる。特許事務所勤務を経て、独立行政法人産業技術総合研究所(現国立研究開発法人産業技術総合研究所(産総研))にて、技術移転業務に従事。数百社との技術移転交渉、1,000通を超える契約書作成を経験。産総研退職後、2015年3月事務所開設。現在、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の事業カタライザーおよび独立行政法人中小企業基盤整備機構の中小企業アドバイザー等の公的機関の専門家として、中小企業・ベンチャー企業等の支援を行う。発明の相談から権利化・活用、補助金申請サポートまで幅広い業務を行っている。


ブランシェ国際知的財産事務所  弁理士
鈴木 徳子

ブランシェ国際知的財産事務所 共同代表弁理士。代々医師の家系に生まれ医学書に囲まれた生活を送ったが、医師にはならずに文系の道を進み知的財産の専門家になった。一橋大学経済学部卒業。現ウォルト・ディズニー・ジャパンでキャラクターのブランディングを担当し、商品化権(著作権や商標権など)に基づくライセンスビジネスに携わる。ディズニー時代に初めて、「知的財産権」という言葉に出合い、その重要性を実感し弁理士になる。その後、外国知的財産サービス会社で大手日本企業(医薬品、化粧品、素材系メーカーなど)の全世界120か国における商標権取得、企業合併に伴う権利移転手続や侵害対応などに携わる。2015年3月事務所開設。大学や各種セミナーで講師も務める。また、認定支援機関として、ものづくり補助金などの補助金申請のサポートも行っている。


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