雇用を守る 従業員シェアの活用法

従業員シェアとは

日本橋人事賃金コンサルタント・社会保険労務士小岩事務所  代表 特定社会保険労務士 小岩 和男
最終更新日:
2022年02月21日

新型コロナウイルス感染症拡大の影響で、休業したり事業縮小を余儀なくされたりと厳しい状況が続く事業者が増えたことで、「従業員シェア(在籍型出向)」が注目されるようになりました。ここでは、従業員シェアとは何か、具体的な例とともに解説していきます。

コロナ禍で活用が進む従業員シェア(在籍型出向)

従業員シェアとは、出向元企業と出向先企業で「出向契約」を結び、出向元企業の従業員が一定期間出向先企業で勤務を行うことです。なお、以下で解説する「在籍型出向」は、従業員シェアと同じ意味として使用しています。

1.需要と供給のバランスが取れる雇用ルール

コロナ禍で、従業員シェア(在籍型出向)の活用が進んでいます。これは需要が大幅に減少した企業が一時的に事業を縮小させる場合に活用できる「従業員の雇用を維持しつつ人手不足等の他企業で働く」という、需要と供給のバランスが取れる雇用ルールです。

コロナの影響を受けている業種等では、経済回復した際、出向先から出向元(自社)に戻る(復職)ことを前提に実施できる合法的な雇用形態といえます。

2.在籍型出向は「出向元・出向先双方と雇用関係」がある(労働者派遣とは異なる)

在籍型出向は「労働者供給」(職業安定法第44条により「業として行うことは禁止」)に当たりますが、コロナ禍で事業の一時的な縮小を行う事業主が、前述の目的で出向させる場合は、「業として行うものではない」と考えられています。

また「労働者派遣」とも違います。在籍型出向は、出向元と出向先双方と雇用契約を結び、出向先企業の指揮命令を受けます。

一方、労働者派遣は、派遣元のみと雇用契約を結び、派遣先は雇用契約を結ばず、指揮命令のみ行います。図表1にてその違いを確認ください。

※掲載されている情報は記事公開時点のものです。最新の情報と異なる場合があります。

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