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中小企業は日本の産業の中心である。中小企業・小規模事業者の数は、2016年の時点で全企業数の99.7%、従業員数では約69%を占めている。まさに「日本経済の屋台骨」だ。その屋台骨を維持するためには、円滑な事業承継が欠かせない。中小企業庁では事業承継の現状をどのように捉えているのだろうか。国としての支援内容や予測される今後の展望について尋ねた。
取材・文◎武田 洋子
経済・社会の基盤を支える中小企業の活力を維持
日本における企業数の内訳のほとんどを中小企業・小規模事業者が占めている。その雇用は日本の企業で働く全従業員の約7割に上り、「中小企業が国の経済・社会の基盤を支えている」ことは間違いない。中小企業庁の平田卓也さんは、中小企業の事業承継を喫緊の課題と位置付ける。その理由は2つ。1つは、経営者の高齢化だ。1990年からの30年で、中小企業経営者の平均年齢は54歳から60歳へと上昇している。対して経営者交代率は下落傾向にあることから、事業承継が進まずに同じ経営者が年を重ねていることがうかがえる。
経営者の高齢化が企業の成長に影響することを示唆するデータもある(中小企業庁委託「小規模事業者の事業活動の実態把握調査」2016年1月)。このデータによれば最も売り上げ増の割合が高いのは30歳代の51%であり、その後は年齢が上がるにつれ売り上げの増加割合は減少し、70歳以上では約14%にとどまっている。企業にとって「若返り」は重要なファクターなのだ。
もう1つの理由がコロナ禍だ。世界中で人々の生活が大きく変化したパンデミックにより、既存の事業もまた変革の岐路に立たされている。
「2020年に全国で休廃業・解散した企業は約5万件と、2000年の調査開始以来、最多を記録しました(図表1)。休廃業した企業のうち、代表者の年齢が60歳以上だった割合は8割を超えています。2021年の動向調査では前年比で1割以上減少しましたが、まだ高止まりといえる状況であり、対応が急務であることに変わりはありません」
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