「継ぐ」をチャンスに 企業価値を高める事業承継

中小企業・小規模事業者を支援する公的機関 きめ細かな相談対応とマッチングで事業承継に伴走

月刊総務 編集部
最終更新日:
2022年07月14日
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中小企業の経営者の高齢化と後継者の不在は、日本経済の重要課題だ。特に地方では、高齢化の進展が著しく、より深刻な状況となっている。こうした課題に対応すべく設けられたのが、全国にある48の「事業承継・引継ぎ支援センター」だ。同センターを束ねる本部となる中小企業基盤整備機構の木口慎一さんに、同機構が果たす役割についてうかがった。

取材・文◎武田 洋子

健康を損なってからでは遅い早めの準備で円滑な事業継承を

独立行政法人 中小企業基盤整備機構 事業承継・再生支援部 審議役 木口 慎一さん
独立行政法人
中小企業基盤整備機構 事業承継・再生支援部 審議役
木口 慎一さん

経済産業省、農林水産省、産業技術総合研究所(旧工業技術院)、中小企業庁等を経て、2018年より中小企業基盤整備機構で現職。2022年4月からは、事業承継引継ぎ支援全国本部副本部長を兼務。中小企業向けの支援、とりわけ中小企業の事業承継支援に幅広く取り組んでいる。

中小企業において、事業承継を本格的に考え始めるのは多くの場合、経営者が高齢になってからだ。昔のように働けなくなって初めて重い腰を上げるわけだが、後継者が決まっていない場合、そこから後継ぎを探して、実際に事業承継をするのは容易ではない。結局後継ぎが見つからずに、あきらめて廃業してしまうケースが年々、増えているのだ。独立行政法人中小企業基盤整備機構(中小機構)の木口慎一さんは、廃業の背景をこう語る。

「経営者が廃業を決める理由としては、『景気の落ち込み』と並び『後継者の不在』が目立っています。70歳を超える経営者の半数に後継者がおらず、また半数以上が黒字経営であるにもかかわらず、廃業を余儀なくされているのです」

昭和の高度成長期を支えた人々は昔かたぎで真面目だ。人に迷惑をかけたくないとの思いが強く、黒字のうちにさっぱりと廃業を決断してしまう。加えて、事業承継は急に準備をして間に合うほど簡単ではないことも、廃業をあと押しする要因になっている。木口さんは早期の準備の重要性を説きつつ、留意すべきポイントを3点挙げる。

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