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中小企業の経営者の高齢化と後継者の不在は、日本経済の重要課題だ。特に地方では、高齢化の進展が著しく、より深刻な状況となっている。こうした課題に対応すべく設けられたのが、全国にある48の「事業承継・引継ぎ支援センター」だ。同センターを束ねる本部となる中小企業基盤整備機構の木口慎一さんに、同機構が果たす役割についてうかがった。
取材・文◎武田 洋子
健康を損なってからでは遅い早めの準備で円滑な事業継承を
中小企業において、事業承継を本格的に考え始めるのは多くの場合、経営者が高齢になってからだ。昔のように働けなくなって初めて重い腰を上げるわけだが、後継者が決まっていない場合、そこから後継ぎを探して、実際に事業承継をするのは容易ではない。結局後継ぎが見つからずに、あきらめて廃業してしまうケースが年々、増えているのだ。独立行政法人中小企業基盤整備機構(中小機構)の木口慎一さんは、廃業の背景をこう語る。
「経営者が廃業を決める理由としては、『景気の落ち込み』と並び『後継者の不在』が目立っています。70歳を超える経営者の半数に後継者がおらず、また半数以上が黒字経営であるにもかかわらず、廃業を余儀なくされているのです」
昭和の高度成長期を支えた人々は昔かたぎで真面目だ。人に迷惑をかけたくないとの思いが強く、黒字のうちにさっぱりと廃業を決断してしまう。加えて、事業承継は急に準備をして間に合うほど簡単ではないことも、廃業をあと押しする要因になっている。木口さんは早期の準備の重要性を説きつつ、留意すべきポイントを3点挙げる。
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