若手の知見で組織を活性化 リバースメンタリングのさまざまな効果

世代間ギャップから学び合う姿勢が重要に リバースメンタリングを成功させる4つのポイント

第一生命経済研究所ライフデザイン研究部 副主任研究員 慶応義塾大学SFC研究所 上席所員 福澤 涼子
最終更新日:
2024年12月10日
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前回「若手社員が上司にアドバイス 世代間のコミュニケーションを促進する『リバースメンタリング』」では、リバースメンタリングの概要とその効果について紹介しました。今回はリバースメンタリングの導入のポイントを解説していきます。

導入のポイントと注意点

それでは、どのようにリバースメンタリングを制度として導入していけばよいのでしょうか。ここからは導入にあたってのいくつかのポイントを説明します。

(1)目的の明確化

まず重要なのは、目的設定です。前回述べたように、リバースメンタリングはDX化を背景に広がった制度ですが、昨今ではそれだけではなく、人事制度の見直しや新規事業のアイデア出し、マネジメント方法の検討、組織の活性化、ダイバーシティ推進などの文脈でも活用されることが増えています。自社でどのような目的で行うのかを明確にしておくことが重要です。

(2)人選

次に人選です。年長者がメンティーになるということは、ときにメンターよりも特定のスキル・知見において未熟であるということを認めることになります。したがって、自分の弱い部分も認めて成長しようという意欲を持つ社員を選ぶことが望ましいでしょう。

メンターの若手社員も若ければ誰でもよいというわけではなく、その目的に合わせて人選することが望ましいです。たとえば、職場のDX化の推進であれば、人に教えられるだけのIT知識を持っているのかが重要ですし、女性の人事制度の改善が目的であれば、そうしたテーマに関する知識を持ち、自分の考えや体験を伝えることのできる人が望ましいといえます。

また、海外のある企業の事例(※1)だと、メンティーとメンターが離れた職務である方が、効果が大きかったという結果が出ています。ヒエラルキー型の組織で、かつ自分に近い上司だと上下関係がぬぐい切れず、効果が発揮されないようです。入社以来、話したことも、共通の知り合いもいないくらいの遠い職務を担当する人同士の方がうまくいきやすいでしょう。

※1 Gupta, P., Steward D., M., Narus A., J., & Seshadri, D. (2020, November 18). Two-Way Mentoring : How Employees can learn from one another. Retrieved from Singapore Management University:

そして、世代間の交流・学び合いになることがリバースメンタリングのポイントですので、できるだけ世代が離れているペアとしましょう。世代が異なれば、その分、世代間ギャップが大きくなるので、その違いから学び取ることができるのです。

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著者プロフィール

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第一生命経済研究所ライフデザイン研究部 副主任研究員 慶応義塾大学SFC研究所 上席所員
福澤 涼子

1988年生まれ。慶応義塾大学大学院政策・メディア研究科修士課程修了後、2020年同大学SFC研究所入所、2022年より現職。専門は職場や住まい、地域での高齢者、大人、若者、子供などの世代間交流。共著に『ウェルビーイングを実現するライフデザイン データ+事例が導く最強の幸せ戦略』(東洋経済新報社,2023)がある。

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