情報やサービスが多様化される今、さまざまな事業領域とのシナジーを生むために企業間でのM&Aが多用され、その件数は急増しています。このような時代において、総務をはじめとする会社のバックオフィススタッフが、自社のM&Aにかかわる機会はますます増えてくるでしょう。本稿では、M&Aの各スキームに関する一般的な知識だけではなく、総務・経理・人事担当者がM&Aにかかわる際、どんなことを考え、どんな作業を行わなくてはならないかという、普段はあまり焦点を当てられることのない裏側について解説します。最後に、総務、経理、人事各部署における具体的な実務について3回に分けて解説していきます。
総務とM&A
実際にM&Aが行われることが決まると、総務では、名義変更の手続きからクライアントへの周知など細々とした作業が多数生じます。M&Aに伴う必要な手続きは主に、M&Aの前に進められる手続きと、M&Aの後でないと行うことができない手続きの大きく2つに分けられます(図表5)。これは、M&Aの効力が発生してからでないと対外的な発表が難しく、また新しい登記簿ができ上がらないためです。
(1)M&A前の手続き
ア:集金代行業者の登録口座変更
月額でクライアントへの請求が発生し、その請求に口座振替を利用している場合、M&Aのスキームによっては、吸収される会社は既存クライアントに対して、変更手続きを行っていただく必要があります。株式譲渡の場合は経営者が代わるだけですので、変更手続きは必要ありませんが、合併や事業譲渡の場合には、M&A後に問題なく口座振替ができるように、合併後に利用する集金代行業者の口座振替依頼書を再取得する必要があります。集金代行業者にもよりますが、口座の登録までに数か月かかることが多いため、集金代行業者が決まり次第、早い段階で再取得の手続きに取り掛かった方がいいでしょう。
イ:実印や銀行印、社判の手配
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