総務は会社の良心?――経営者が語る「総務に期待すること」
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前回は、総務の他部署からの評価について紹介しました。今回は経営者から見た総務の評価と、総務自身の評価について見ていきたいと思います。
総務のオーナー?
「総務が変われば、会社が変わる」――。前回、この言葉で総務の可能性について表現しました。会社を誰よりも変えようと思っているのは、経営者ではないでしょうか。経営者は、総務に対してどのような思いを持っているのでしょうか?
総務はスタッフ部門の一つである一方、働き方改革や、職場の多様性を考える中心の部署となるので、経営者と近い存在です。このように経営と現場の間の立ち位置となる総務は、どちらとも頻繁にコミュニケーションを取る必要があります。
総務のユーザー、総務のオーナーという言葉があります。総務のユーザーは総務が行う施策を使う人、という意味で現場従業員のことを指します。一方、総務のオーナーとは経営者を指します。オーナーは総務に対して指示命令ができ、また厳しくいえば、総務のメンバーを退職させたり、配置転換させることもできる立場です。
ですから、総務は経営者が考えていることや、経営の方向性を随時確認する必要があります。これを「アライメントを取る」といいます。アライメントとは、自動車の車輪と車体が同一の方向に向くように調整することです。つまり、総務が経営との方向性を一致させることを指します。このアライメントが取れていないと、提案したとしても決裁が下りない、ということになるのです。
経営者の評価
このように総務は経営者との関係構築をしていくのですが、そもそも経営者は総務をどのような存在と考え、何を期待しているのでしょうか? みなさんが経営者に「総務について聞く」機会も、なかなかないと思います。
本誌の巻頭企画「ヒーローインタビュー」では、今注目の経営層の方を取り上げています。私は、毎回最後に、総務についてどのように考えているか、総務の印象や可能性について聞くことにしています。その中から、いくつかピックアップしてご紹介しましょう。
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全従業員とその家族が日々明るく生活しているか絶えず気を配り、助け合い、幸せに仕事ができる「場」をつくるのが総務の仕事
- 従業員はみな、人間です。感情があります。日の当たらない部門や従業員をちゃんと見て、日を当てるのが、総務の大きな仕事
- 社内の環境を整備し、個々人の能力をアップすることができれば、それはそのまま利益に反映できる。総務の仕事はおもしろい仕事
- 経営者と同じくらいの見識を持ち、会社全体を見渡し、問題を発見し、的確に判断し、打つべき手を打つ。これは総務にしかできない
- 今は総務が会社の価値、会社の文化を創る部門になっている。まさに総務は、会社の基本方針を形にする重要セクションだ
- 総務は社内のマーケティング部門。全従業員に情報発信する部署でもある。元気で明るい情報を発信すれば、従業員も元気になる
いかがでしょうか? 経営者は実によく総務部門のことを理解し、その可能性と重要性を認識しています。
さらに、以下のような言葉もあります。
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「平常」と「異常」の違いがわかる能力、感じる能力を常に磨いておくことが大事です
- 一つの部分を見るのではなく、大局を見る「会社の目」。それが総務だ
- 総務は会社の良心であってほしい
この言葉の裏には、それほど総務は重要であり、それができる部門であるという信頼があるのだと思います。見るべき人が見れば、知っている人からすれば、総務部門は会社の軸であり、会社を変えていく大きな可能性を持った部門だと映るのでしょう。
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