ドラッカーが考える、スタッフ部門・総務の成果とは?

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今回は「スタッフ」部門に位置付けられる総務の役割、仕事について考えていきます。
スタッフとは何者?
総務は「間接部門」や「バックオフィス」といわれることがあります。さらに、レイヤーを「ライン」と「スタッフ」に分けると、総務は「スタッフ」に位置付けられます。
Wikipediaでは「ラインアンドスタッフ」を下記のように説明しています。
端的に表現すると、効率良い組織運営のために、前線で戦う組織と、後方支援する組織とに分業するということでしょう。
さらに、企業組織においてスタッフは、経営者の後方支援としての「ブレーン」と、現場社員の後方支援としての「サービス・スタッフ」に分けることができます。企業規模が大きくなればなるほど、ブレーンとサービス・スタッフに分化していきます。一方、企業規模が小さくなると、ブレーンとサービス・スタッフは同一の組織になるでしょう。
みなさんの組織は、ブレーンを兼ねているでしょうか? どちらが良い、悪いというわけではありませんが、サービス・スタッフとしての機能のみでは、どうしても「いわれたことだけやるスタッフ」になりかねません。ブレーン(戦略立案)としての機能があって初めて、「仕掛けるスタッフ」「会社を変えるスタッフ」の役割を果たすことができます。
スタッフである総務の仕事の成果
ブレーンにせよ、サービス・スタッフにせよ、スタッフはラインに貢献してこそ、存在価値があります。自部門だけのためにがんばったとしても、それでは意味がありません。誰に対して仕事をするのか、誰が自分の顧客なのかをしっかりと認識する必要があります。ピーター・ドラッカーも、スタッフについて次のように記しています。
つまり、支援という活動を通じて現場に貢献することが、スタッフの成果であるといっているのです。
そして、静岡大学大学院の舘岡康雄教授は、支援を「相手から出発して自分を変える行動様式」と表現しています。この場合の「相手」とは、現場従業員、経営者、企業を取り巻く全てのステークホルダーであり、外部環境と内部環境の両面から捉えることが必要です。
外部環境の変化、直近ではコロナ禍による働き方の変化への対応は、まさにスタッフである総務の仕事でもありました。変化への対応の最前線に立つスタッフ自身が、変化しないままで対応できるとはとても思えません。広い意味で、「相手から出発して自分を変える行動様式」がとても重要となります。
当初は良いと思われた施策も、環境変化により、時代遅れとなったり、リスクとなったりすることもあります。現場からの問い合わせや依頼事項についても、総務の立場を振りかざすのではなく、依頼の裏に隠れている意図を読み取り、時代に即した対応をするために、総務自身が変化して対処することが必要なのです。
私がこれまで何度もお伝えしてきた「戦略総務」の定義も、このことに当てはまります。スタッフである総務には「変化」が重要である、ということをご理解いただけたらと思います。
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