前回「資格をコスパで選ぶべきではない理由とは 人生がもっと豊かになる資格取得による6つの効果」では資格がもたらす効果について解説しました。今回、次回は総務にお薦めの資格をピックアップ。本稿では、総務業務に特に関連性の高い、人事・労務・総務系の資格をご紹介します。
取材・文◎武田 洋子
社会保険労務士(社労士)
鈴木 秀明さん
総合情報サイト「All About」資格ガイド。東京大学理学部卒。東京大学公共政策大学院修了。米国公認会計士、気象予報士、中小企業診断士、行政書士、証券アナリストなど940個以上の資格を取得。年間80個以上のペースで資格試験を受け続け、資格の専門家として多方面で活動中。雑誌・テレビ・ラジオなどのメディア出演実績は500件以上。著書に『効率よく短期集中で覚えられる 7日間勉強法』(ダイヤモンド社)、『小学生にもとれる!資格・検定カタログ』(監修)(小学館)などがある。
社労士は労働問題と社会保険制度の専門家です。行政機関に提出する必要がある就業規則などの労働基準法に関連する書類や、社会保険や雇用保険等に関連する書類の作成や申請を代行します。
このほか、給与計算、企業年金制度の構築、各種助成金の申請および相談など、社内の事務一般を担うことが可能です。難易度の高さで知られていますが、総務として専門レベルを極めようと思ったら、ぜひ挑戦してほしい資格です。これを持っていると評価されるのは間違いありません。
法改正が頻繁なので、取得から5〜10年経つと知識が古くなります。ブラッシュアップを続ける必要があるでしょう。
人事総務検定
最近できた新しい資格で、どちらかというと総務よりも人事の領域をカバーする内容です。
3級〜1級まであり、3級は担当者レベル、2級は主任レベル、1級は課長レベルと設定されています。社会保険労務士試験の出題範囲と重複する分野が多く、マイナンバー制度などといった社労士には入っていない項目も網羅しています。より実践的な内容になっているので、将来的に社労士を目指す人は、まずこちらを取得してみても良いでしょう。
マイナンバー実務検定
社会的基盤として導入されたマイナンバー制度を理解し、特定個人情報の保護や適切な取り扱いを習得する検定試験です。マイナンバーを取り扱う業務に携わることになったけれど、知識が全くない!といった人は入り口として取得するといいでしょう。
また、検定内容は制度改正に応じて随時アップデートされているので、キャッチアップのために取得する手もあります。
ビジネス・キャリア検定
人事・人材開発・労務管理、経理・財務管理、営業・マーケティング、生産管理、企業法務・総務、ロジスティクス、経営情報システム、経営戦略と、一般的な企業にある職種を網羅する内容で、かなり実践的です。特に営業や人材開発といった領域を取り扱う検定というのはなかなか珍しいです。「ああ、こういうことを知っておくと実務スキルに差が出るよね」という押さえどころが的確で、現場レベルで役立つ内容です。
BASIC級~1級まであり、8分野41試験と、分野によって細かく試験区分が設定されています。
等級イメージは図表2の通りですが受験資格等は設けられておらず、誰でもどの級からでも受験可能です。
また、現場レベルの具体的な知識やノウハウを問う問題が多いので、仕事力アップのヒントが多数見つかるはずです。経営戦略の分野も、戦略総務にとってはざっと押さえておきたいところではないでしょうか。
メンタルヘルス・マネジメント検定
この検定では、働く人々の心の不調の未然防止と活力ある職場づくりを目指し、必要なメンタルヘルスに関する知識や対処方法を習得します。III種~I種があり、III種は自分自身で対策するセルフケア、II種はチームメンバーのメンタルヘルス対策を行う管理職向けのラインケア、I種は人事労務管理スタッフや経営幹部を想定したマスターコースとなっています(図表3・4)。
発足から10年以上が経ちますが、仕事に対して強い不安やストレスを感じ、心の不調により休職・離職する人の増加に伴い、注目されている検定です。知名度も信頼性も高く、褒賞金を出して取得を奨励する企業もあります。II種までは知識ゼロからでも学習しやすく、合格率も5~8割程度と、難易度はそこまで高くありません。
総務担当者であれば、企業の人事労務体制を整える上でも、I種のマスターコースにもぜひ挑戦していただきたいところです。
外国人雇用管理主任者
外国人材の受け入れ促進により、外国人雇用管理に関連する資格は、ここ数年で注目度が一気に上がりました。
この資格は在留資格や特定活動などについて正しく理解するため、労務管理、契約、就業規則の作り方など外国人雇用のトータル的なサポートができる人材育成を目的にしています。
外国人雇用に際して留意すべき点、必要な手続き、何が問題になり得るのかなど、具体的なノウハウを身に付けることができます。
産業廃棄物適正管理能力検定
産業廃棄物を排出する企業の担当者であれば取得が推奨されます。産業廃棄物の管理には、廃棄物処理法をはじめとする複雑な法規制があるため法令遵守の観点からも、担当者が知っておかなければならない知識を整理できます。
全業種に共通する産業廃棄物管理の必須知識を網羅した検定ですが、より専門的な知識を問う「応用編」もあり、自社の業務に特化した実践的な知識のニーズにも対応しています。応用編では建設系と事業系の2つのコースがあります。
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